2021 Fiscal Year Research-status Report
高速イオン伝導が可能な電子-イオン混合伝導性有機材料の創成と伝導メカニズムの解明
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19K15396
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
正村 亮 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50757599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イオン伝導 / シングルイオン伝導 / 複合材料 / 二次電池 / リチウムデンドライト |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子伝導体であるπ共役系分子と、イオン伝導体であるイオン液体を精密に複合化させ、1種類の材料中で電子伝導とイオン伝導を同時に有する、「新規混合伝導性有機材料」の創成を行っている。2021年度はポリエチレンオキシド(PEO)とLi塩の混合系ポリマーや、シングルイオン伝導性ポリマーなどのLi伝導性ポリマーと、炭素材料やセタミックなどの無機材料との複合化について検討し、新規なLiイオン伝導体の合成を行った。合成した複合膜は伝導度をはじめとした各種物性評価や実際のセルへ実装してのサイクル評価を行った。 炭素材料として酸化グラフェン(GO)を用いてシングルイオン伝導性ポリマーとの複合膜を合成し、その詳細な物性を調べたところ、わずか5%程度のGOを添加した複合膜において、最も伝導度が高い結果を得た。また、セラミック/PEO系電解質との複合膜を合成し、Li金属負極二次電池へ実装してサイクル評価を行った。リチウム金属と電解質の間の界面反応の安定性を向上させる目的で、セラミック/PEO系複合固体電解質層で市販のポリエチレン膜セパレータをコーティングしたところ、リチウム金属と電解質の間の界面抵抗の上昇が抑制され、界面でのリチウムの溶解/析出反応の繰り返しにおける安定性が向上した。これらの結果より、リチウムデンドライトの生成が抑制されていることが示唆され、さらにリチウム空気電池において同手法を用いたところ、従来のセルと比較して電池の放電/充電サイクルの安定性向上に寄与したことが確認された。また現在、電極と電解質界面の安定性をより向上させる目的で、カーボンナノチューブ/シングルイオン伝導性ポリマーから成る混合伝導性複合膜を合成し、詳細な物性の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度はLiイオン伝導性複合膜について興味深い結果か得られたため、そこにクローズアップした取り組みが中心となった。そのため当初目的とした混合伝導性材料に関する実験に遅れが出た。しかしながらLiイオン伝導性複合膜に関しては、本研究の核となる内容でもあるため、Liイオン伝導性に関する多くの知見が得られたことは非常に有益である。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は電子伝導体であるカーボンナノチューブと、Liイオン伝導体であるシングルイオン伝導性ポリマーから成る混合伝導性複合膜を中心に進めて、伝導度、膜の物性評価、Li金属負極二次電池へ実装してのサイクル評価などを実施する予定である。特に伝導度に関しては、電気化学測定や拡散NMR測定などを併用して、電子伝導とイオン伝導とを切り分けての測定を目指す。
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Causes of Carryover |
2021年度に国際学会への参加を予定していたが、コロナ渦につき2022年に延期になった。そのため2022年に参加予定であるが、本年開催されなかった場合は追加実験のための試薬および電極などへ使用予定である。
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Research Products
(5 results)