2022 Fiscal Year Research-status Report
高速イオン伝導が可能な電子-イオン混合伝導性有機材料の創成と伝導メカニズムの解明
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19K15396
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Research Institution | Tsuruoka National College of Technology |
Principal Investigator |
正村 亮 鶴岡工業高等専門学校, その他部局等, 講師 (50757599)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | シングルイオン電導性ポリマー / カーボンナノチューブ / Li負極二次電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、電子伝導体とイオン伝導体を精密に複合化させ、1種類の材料中で電子伝導とイオン伝導を同時に有する、「新規混合伝導性有機材料」の創成を行っている。2022年度は、電子電導性材料であるカーボンナノチューブ(CNT)と、シングルLiイオン伝導性ポリマーであるポリスチレンスルホニルイミド-Li(PSTFSI-Li)との混合材料を作成し、Li負極表面へのコーティング膜として、各種物性評価やLi-Li対象セルへ実装してのサイクル評価を行った。 CNTは各種有機溶媒へ不溶のため、CNTとPSTFSI-Liを有機溶媒中で撹拌しても混合できない。そのため本研究では、CNTへの吸着部位であるピレン誘導体を側鎖に有するモノマーを合成し、PSTFSI-Liとの共重合体を合成した。この共重合体を用いることにより、CNTとPSTFSI-Liとを有機溶媒中で均一に分散させることに成功した。この分散液を新規なコーティング材料として、Li負極上へ塗布し、Liの溶解析出反応時の安定化を目指した。 本材料をLi-Li対象セルのLi金属上にスピンコーティングして、充放電にともなうLiの溶解/析出反応の繰り返し試験を行った。その結果、コーティングをしていない場合や、PSTFSI-Liのみをコーティングした場合と比較して、Liの溶解/析出サイクル増加にともなう過電圧の上昇が抑制され、長期での安定化が示唆された。これはコーティングによって電極界面での電解液の分解が阻害され、絶縁性の不動態膜の吸着が抑制された結果であると推測される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、新規混合伝導性有機材料を合成し、二次電池などのエネルギー材料に応用することを目標としている。本年度の成果として、CNTとLiイオン電導性ポリマーを有機溶媒中で均一に分散し、混合電導性のコーティング材料として実際のセルへの実装までを行った。またサイクル試験を実施し、物性に関する結果も得られており、概ね順調に進行していると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度の予定として、CNTとPSTFSI-Liの混合比を変えて、Li-Li対象セルのサイクル特性の変化を観測し、最適な割合を求め実際のLi負極二次電池への実装を目指す。また、電導性に関する知見を得ることを目標とする。特に混合電導材料中の電子伝導とイオン伝導との切り分けは極めて難しい。しかしながら、新規な混合電導性材料設計の重要なファクターとなってくる知見であるため、電子電導とイオン電導それぞれを切り分けての測定法の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
本年度予定していた学会参加(海外)を取りやめ、国内で開催された学会への参加に変更したため使用額が変更となった。次年度は共同研究先への出張旅費と、国内学会での発表のために使用予定である。
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Research Products
(3 results)