2019 Fiscal Year Research-status Report
蒸発と凝縮が混在するマイクロスケール閉鎖系の伝熱特性の解明
Project/Area Number |
19K15414
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
塚本 貴城 東北大学, 工学研究科, 准教授 (70646413)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MEMS / 熱流束測定 / マイクロスケール伝熱 / 感温塗料 |
Outline of Annual Research Achievements |
マイクロスケール領域での熱流束直接測定のための,熱流束シートの基礎検討をおこなった.はじめに,MEMS静電アクチュエータを用いて,ピンホールをXYZ3軸にスキャンすることで,対象物の温度分布を3次元的に走査させる共焦点型の測定システムを検討した.このシステムの中核をなす,MEMS静電デバイスによるピンホール駆動の設計を行った.その結果,所望の振幅と解像度,スキャンレートを同時に達成するのは,困難であることがわかった.よって,解像度や動作速度の観点からで,後述のストロボ法の方が優れていると判断し,ストロボ法のシステムの開発に切り替えた.ストロボ法では,2種類の異なる励起波長の感温塗料と薄膜光学フィルタを組み合わせて,温度差を測定する.感温塗料は,励起光を照射した時の発光強度が温度に依存するものであり,非接触の温度測定に利用できる.本研究に使用可能な感温塗料を調査し,最終的に紫外領域で使用するEuTTAと,可視光領域で使用するRuPhenを組み合わせて用いることとした.シートの両面に,これらの感温塗料薄膜を形成させ,時間差をつけてそれぞれを励起することで,シート両面の温度を測り,この温度差から熱流束のマイクロスケールでの分布を計算する.このための,2種類の励起光パルスを時間差を付けてシートに照射するための光学系と,生じた発光を観察するための光学系の設計を行った.また,測定精度を向上させるためには,励起パルスを正確に発生させる必要があるため,FPGAを用いた高精度パルス制御装置の開発を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初予定していた共焦点型デバイスの基礎検討を行った結果,ストロボ法の方が性能を高くできる可能性が大きいため,研究の方針を変更した.そのため,スケジュールに若干のおくれが生じているが,測定用シートの構成,光学系,制御機の設計などはほぼ終えており,支障はない.
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Strategy for Future Research Activity |
まずは,EuTTA,RuPhenそれぞれの温度感度係数を測定する.その後,設計した熱流束シートを作製する.今年度設計した光学系を実際に組立て,熱流束シートの裏表の温度をそれぞれ測定できることを確認する.その後,市販の(マクロな)熱流束センサを用いて,シートの校正を行う.最後に,液滴蒸発・凝縮系にこのシートを組み込み,蒸発・凝縮に伴う熱流速のマイクロスケール測定を行う.
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Causes of Carryover |
今年度は,検討の結果,測定方式を変更したため,装置の設計にとどまった.そのため,装置製作のための実際の支出は次年度になるため,次年度使用学が生じた.
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