2022 Fiscal Year Annual Research Report
Development of aL-fL/sec Flow Monitor in Nanospace
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19K15417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
森川 響二朗 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 特任講師 (20796437)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ナノ流体工学 / 流動電流 / 流動電位 / ナノ電極 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度までに最小で50 nmの流路から数1000 nmのサイズ制御された流路の加工(Morikawa et al, Micromachines, 917, 2021, 化学とマイクロ・ナノシステム学会 第44回研究会, ビジュアルムービー賞など)や、ナノ電極の作製法、流路の修飾法などといった本研究に必須なだけでなくナノ流体工学において重要な基盤技術を開発してきた。2022年度では流量値の校正に必要な流動電流値と流量値の関係についても明らかにするため、流動電流実験とシミュレーションの双方を利用して検証を行った(National Kaohsiung Normal UniversityのChang先生との共同研究)。990nmや1680nmの流路ではバルクの物性値をもとに計算した値と実験値が一致した。よってバルク物性値と理論式をもとに流動電流値を流量値に変換することは可能であった。一方で50nmの流路ではバルクの物性値をもとにした計算した値は実験値と一致しなかった。我々のグループが過去に測定してきたバルクとは異なる粘度、誘電率、解離定数などの物性値を用いて計算したところ、計算値と実験値がよく一致した。これらの結果は50nmの空間で得られた初めての溶液物性に関する知見であった(Morikawa et al, Proceeding of MicroTAS, 825, 2022)。これらの物性値を用いた計算から流動電流値を流量に変換すると50nmの流路1本あたり約30aL/secの流量で流れていることが見積もられた。以上から世界で初めてのaL/sec領域での流量計測に成功した。しかしながら、流動電流の測定のたびにシミュレーションが必要なほどの校正方法となり、バルクとは異なる物性値をもつナノ空間で普遍的な校正方法を開発するという点においては課題を残した。
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