2019 Fiscal Year Research-status Report
Investigaiotn of origin of high piezoelectric response from piezoelectric nano/micro polymer fibers
Project/Area Number |
19K15421
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 佑弥 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 助教 (30633440)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノ・マイクロファイバ / エレクトレット / 圧電 / エレクトロスピニング / 電界紡糸 / 高分子 / ポリマ― |
Outline of Annual Research Achievements |
2019年度は,電界紡糸法で作製したポリマナノ/マイクロファイバ膜において発現する圧電的特性の発現の原因の基本部分を明らかにした.具体的には,異なる積層方向で電界紡糸ポリスチレンマイクロ圧電ファイバ膜を積層したときの表面電位を測定したところ,単層の当該膜の表面電位は約439 Vであり,電界紡糸で使用した正の高電圧と同極性の表面電位をもつエレクトレットであることが分かった.次に,2枚の当該膜を順方向積層と逆方向積層し表面電位を測定したところ,順方向積層で約536 Vと増加する一方で,逆方向積層で約-26 Vと相殺されるように大きく減少することが分かった.以上の結果から,当該ファイバ膜の上側付近に正電荷が偏って担持され,ファイバ膜の下側付近に負電荷が偏って担持されたエレクトレットであることが示され,これが圧電的特性の発現メカニズムの基本部分であることを明らかにした. さらに,多孔性ポリマフィルムのエレクトレットの解析モデルを応用して,実効的な表面電荷密度を見積ったところ,当該ファイバ膜が良好に帯電していることが分かった.以上の結果と解析モデルの式を照らし合わせることにより,電界紡糸ポリスチレンマイクロ圧電ファイバ膜が高度の見かけの圧電 d 定数を示した理由が,良好に帯電しかつ非常にやわらかい性質に由来することを明らかにした.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2019年度は,電界紡糸法で作製したポリマナノ/マイクロ圧電ファイバ膜において,そもそもの「なぜ圧電的特性が発現したか?」の解明を主に計画していた.実際に2019年度は,この圧電的特性の発現の原因の基本部分が,当該ファイバ膜の上側付近に正電荷が偏って担持され、繊維膜の下側付近に負電荷が偏って担持されたエレクトレットであることを明らかにした.さらに,主に2020年度以降に計画していた,高度の見かけの圧電特性(見かけの圧電d定数)が得られた原因の解明についても,当該ファイバ膜が良好に帯電しかつ非常にやわらかい性質に由来するという基本部分を明らかにしている.従って,当初の計画以上に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,高度の見かけの圧電特性(見かけの圧電d定数)が得られた原因の解明をより詳細に検討する.2019年度までに,電界紡糸法で作製したポリマナノ/マイクロ圧電ファイバ膜が高度の見かけの圧電 d 定数を示した理由が,良好に帯電しかつ非常にやわらかい性質に由来することを明らかにしている.2020年度以降は,より詳細に高度の見かけの圧電特性(見かけの圧電d定数)が得られた原因を研究していく.具体的には,当該ファイバの材料やファイバの紡糸条件などを変化させることにより,見かけの圧電特性との関係を調査する.また,ファイバの直径などの当該ファイバ膜のやわらかさに影響を及ぼす因子を変化させ,見かけの圧電特性との関係を調査する.
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Causes of Carryover |
当初参加を予定していた学術会議の開催が中止となったため旅費と学会参加費に差額が生じた.差額分については次年度の試薬購入費に使用する.
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Research Products
(14 results)