2020 Fiscal Year Research-status Report
Investigaiotn of origin of high piezoelectric response from piezoelectric nano/micro polymer fibers
Project/Area Number |
19K15421
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
石井 佑弥 京都工芸繊維大学, 繊維学系, 助教 (30633440)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ナノマイクロファイバ / エレクトレット / 圧電 / エレクトロスピニング / 電界紡糸 / ポリマー / 圧力センサ / ポリスチレン |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、フィルムでは通常圧電性を示さない廉価な汎用ポリマーであるアタクチックポリスチレン(aPS)が、電界紡糸によるマイクロファイバ膜化のみにより優れた疑似逆圧電特性を示すことを世界に先駆けて明らかにした(Macromol.Rapid Commun.41,2000218(2020))。加えて、高周波の電圧印加および振動印加に対しても良好に応答することを示した。また、これらの疑似逆圧電特性および疑似正圧電特性を良好に説明する数理モデルも初めて提案した。 また、異なる6種のポリマー{poly(methyl methacrylate)(PMMA)、aPS、poly(vinyl alcohol)(PVA)、poly(D,L-lactic acid)(PDLLA)、poly(L-lactic acid)(PLLA)、poly[(R)-3-hydroxybutyric acid](PHB)}をそれぞれ電界紡糸し、得られたナノマイクロファイバ膜の疑似正圧電特性を作製22時間後と30日後に測定した(Polymer,224,123732(2021))。作製22時間後では、PMMA、aPS、PDLLA、PLLA、PHBの各ファイバ膜が疑似正圧電特性を示した。特にPMMA、aPS、PDLLAはフィルムでは通常圧電性を示さないポリマーである。一方で、PVAファイバ膜は疑似正圧電特性を示さなかった。また作製30日後では、PMMAとaPSの各ファイバ膜は見かけの圧電d定数(dapp)の値をほぼ保持したものの、PDLLA、PLLA、PHBの各ファイバ膜ではdappの顕著な低下が見られた。これらの異なる経時特性は、各ポリマー種が有する電荷保持特性の違いに由来するものと考察している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、フィルムでは通常圧電性を示さない廉価な汎用ポリマーであるアタクチックポリスチレンが、電界紡糸によるマイクロファイバ膜化のみにより、優れた疑似逆圧電特性および疑似正圧電特性を準静的および高周波の条件下で共に示すことを世界に先駆けて明らかにした。さらに、電界紡糸ナノマイクロファイバ膜が、「なぜ疑似圧電特性を発現したか?」「高度の疑似圧電特性を示した原因は何か?」を2019年度よりも詳細に明らかにした。特に、これらの疑似逆圧電特性および疑似正圧電特性を良好に説明する数理モデルの構築は特筆すべき成果であり、当該モデルにより高度の疑似圧電特性が得られた原因をより詳細に明らかにした。また、異なるポリマーからなる電界紡糸ナノマイクロファイバ膜の疑似正圧電特性の経時特性を評価し、各種ポリマーのどの物性が疑似圧電特性の発現および優劣に影響を与えるかを考察した。以上の進展により、当初の計画以上に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2020年度に引き続き高度の疑似圧電特性(見かけの圧電d定数)が得られた原因の解明をより詳細に検討する。具体的には、紡糸条件(紡糸電圧、紡糸時間、溶液の種類など)を変化させて電界紡糸ナノマイクロファイバ膜を作製し、この疑似圧電特性と関連する物性値を評価することにより、疑似圧電特性と紡糸条件の関係を系統的に調査する。この系統的な調査により、どの作製条件がどのように疑似圧電特性の優劣に影響を与えるかを明らかにする。なお、2020年度に構築した数理モデルを用いることにより、より詳細な考察が可能となる。また、2020年度に新たに開発した疑似正圧電特性の評価法(連続押込み法:Sens.Actuator A Phys.326,112717(2021))も疑似圧電特性の評価に活用する。
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