2020 Fiscal Year Research-status Report
The study on the spin-orbit perpendicular-spin spin current using magnetic materials
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19K15430
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
飯浜 賢志 東北大学, 学際科学フロンティア研究所, 助教 (70826073)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | スピン流 / スピン異常ホール効果 / スピン軌道トルク / 磁化ダイナミクス |
Outline of Annual Research Achievements |
電流からどれだけ多くのまたどういったスピン流を生成するかを理解することが高エネルギー効率でかつ高速に磁化制御する上で重要である。非磁性重金属のスピンホール効果は電流の方向とスピンの方向、スピン流の流れる方向がそれぞれ直交関係にある。一方で強磁性体を利用することで上記の直交関係ではないスピン流を生成することが可能であり、近年世界中で研究されている。しかしながら、初等的な強磁性体であるFe-Co合金でさえどのようなスピン流を作るかがわかっていなかった。 2020年度はFe-Co合金におけるスピン流生成の組成依存性を強磁性共鳴法を用いて測定した。Fe-Co合金層/Ti非磁性層/NiFeスピン流検出層の膜面内方向に電流を印加し、膜面直方向に流れるスピン流をNiFe層の強磁性共鳴を測定することにより評価した。Fe-Co合金において生成されるスピン流の符号がCo組成を大きくすると正から負へと符号が反転することが分かった。スピンホール効果は元素の電子数によって符号が変化することがすでに分かっていたが、その理論ではFe-Co合金の符号変化が説明できなく、電子-マグノン散乱の効果が示唆された。強磁性体におけるスピン異常ホール効果を理解する上で有用な知見となる結果である(Y. Koike et al. Jpn. J. Appl. Phys. 59, 090907 (2020))。 上記の成果に加え、垂直磁化膜にトルクを及ぼすスピン流を評価する上で有用な手法である時間分解磁気光学カー効果を用いたスピン流の評価にも成功した(K. Ishibashi et al. Appl. Phys. Lett. 117, 122403 (2020))。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の研究進捗状況からおおむね順調に進展していると考えている。 ・初等的な強磁性体であるFe-Co合金におけるスピン流生成の組成依存性を調べることによってスピン異常ホール効果のメカニズム解明に向けて有用な知見を得ることができた。 ・時間分解磁気光学カー効果を利用したスピン軌道トルクの検出に成功した。この手法は垂直磁化膜の磁化ダイナミクスを検出する上で有用であり、この方法を利用することで垂直スピン流によるスピン軌道トルクを観測することが可能となる。
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Strategy for Future Research Activity |
時間分解磁気光学カー効果を利用することで、垂直磁化膜における高速な磁化ダイナミクスの評価が可能となり、垂直スピンによるスピン軌道トルクを原理的に観測することが可能となる。しかしながら、従来よく用いられてきた時間分解磁気光学カー効果による磁化ダイナミクス検出感度は磁場角度に依存しており、原理的には磁場を垂直にかけると検出感度がゼロになる。よって垂直磁化膜に及ぼす垂直スピンのスピン軌道トルクを感度よく検出するためには、原理が異なる磁化ダイナミクス励起(または検出)手法が必要である。その一つとして、光が作るスピンを利用した磁化ダイナミクス励起手法が考えられる。今後の研究方針としては光が作るスピンによって磁化ダイナミクスを励起し、垂直磁化膜における高速な磁化ダイナミクスを観測することである。
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Causes of Carryover |
今年度で必要となった物品等を購入したが残余金がでた。余った金額は次年度に必要となる消耗品の購入に充てる。
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Research Products
(9 results)
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[Journal Article] All-optical probe of magnetization precession modulated by spin-orbit torque2020
Author(s)
Kazuaki Ishibashi, Satoshi Iihama, Yutaro Takeuchi, Kaito Furuya, Shun Kanai, Shunsuke Fukami, Shigemi MizukamiKaito Furuya, Shun Kanai, Shunsuke Fukami, Shigemi Mizukami
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Journal Title
Applied Physics Letters
Volume: 117
Pages: 122403, 1-4
DOI
Peer Reviewed
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