2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15431
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
一色 弘成 東京大学, 物性研究所, 助教 (80812635)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | スピントロニクス / 分子 / 界面 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度(2019年度)は、鉛(II)フタロシアニンと銅接合界面を設計して高効率なスピン流-電流変換(逆エデルシュタイン効果)を実証した。1分子層の鉛(II)フタロシアニンを銅の上に蒸着させることで、分子平面が銅界面に対して平行になり、逆エデルシュタイン効果の大きな変換係数が得られることがわかった。 2020年度は、ゲート電圧による逆エデルシュタイン効果の変調に取り組んだ。鉛(II)フタロシアニンと銅の界面状態をゲート電圧によって制御し、逆エデルシュタイン効果の変調を試みた。これまでに作製した素子では、印加可能なゲート電圧はおよそ±5 Vであった。実験では、このゲート電圧の印加により、変換係数は数パーセント程度変化することがわかった。研究計画時には、鉛(II)フタロシアニンの電気双極子とゲート電圧による電場の相互作用により、Cu表面に対する鉛イオンの位置を変化させることを想定していた。しかし、昨年度得られた計算結果からも示唆されるように、分子がCu界面に吸着したときの界面の電気双極子の大きさは、分子単独のときよりもかなり小さくなる。ゲート電圧による逆エデルシュタイン効果の劇的な変調のためには、界面の設計を考え直す必要がある。 また、前年度の実験から得られた知見を基にして、界面のスピン流-電流相互変換の現象論的モデルを構築した。非局所配置法を用いて行ったBi2O3/Cuの正・逆エデルシュタイン効果の実験結果を、構築した現象論的モデルで解析し、論文にまとめた。この論文では正・逆エデルシュタイン効果の変換係数を実効的なスピンホール角に結び付け、2つの変換係数の間のトレードオフの関係を示した。
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Research Products
(1 results)