2019 Fiscal Year Research-status Report
窒素ドープにより高密度に分散したPt単原子の3次元原子配置の特定
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19K15439
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山崎 憲慈 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10732985)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 金属単原子 / グラフェン / TEM、STEM |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、HAADF像に加え、単原子からの信号を得られるように条件を最適化したEELS-Core loss mappingによる元素分析を行うことで、Pt単原子と窒素のグラフェン内での原子配置を明らかにし、Pt単原子化における窒素の役割を明らかにすることを目的としている。今年度はEELSマッピングの条件最適化を行い、原子配置が可能な実験データの取得に注力した。これまでに単層グラフェンのSTEM観察を行い、清浄な六員環が配列した単層グラフェンの表面に付着したコンタミネーションがナノサイズのグラフェン小片(ナノグラフェン)で構成されグラフェン上で積層構造を形成していることを報告している。さらに、グラフェン表面に吸着しているPt単原子のほぼすべてがナノグラフェンのエッジを吸着サイトとしているを明らかにしている。ナノグラフェンは五員環、七員環などの欠陥構造を含むために清浄なグラフェンよりも原子分解能でのEELSマッピングが難しい試料であった。STEM計測における問題としては、過度の電子線照射により試料がドリフトしイメージングができないこと、EELSの信号強度が不足し元素同定ができないことがある。これらは単位面積当たりの電子線照射時間(ドーズ量)に対してトレードオフの関係にあり、ドーズ量が多いと吸着原子がドリフトし、少ないとEELS信号が不足する。原子構造計測には最適な照射時間を見つけることが必要である。特に、単層グラフェンと比較するとナノグラフェンやPt単原子はドリフトしやすく、電子線照射時間を減らす必要があった。ピクセルサイズ、電子線の照射時間の条件最適化を行い、ナノグラフェン、グラフェン内にドーピングされた窒素とPt単原子の原子配置が可能な実験データが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでに単層グラフェンのテラスにドープされた元素の原子分解能イメージングは行われてきたが、本研究ではグラフェン表面のコンタミネーションの主要な構造であるナノグラフェンを含む構造の原子配置が明らかにされつつある。また窒素のドーピングは清浄なグラフェンのテラスよりもナノグラフェン内で多く起こっており、本研究で進めているナノグラフェン内での窒素、Pt単原子の原子構造を明らかにする重要性がより高まっていると思われるため。
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Strategy for Future Research Activity |
得られた実験データに対して原子配置を行い、窒素がドープされていない場合の原子配置と比較してPt単原子のグラフェン内での安定性を理論計算によって解析する。また電子状態の違いの有無についても明らかにする。
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Causes of Carryover |
当初予定していた共用施設の利用予定がメンテナンス等により次年度にずれ込んだため。
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Research Products
(5 results)