2019 Fiscal Year Research-status Report
真空搬送型走査ダイヤモンド磁気イメージングプローブ機構の開発
| Project/Area Number |
19K15444
|
|---|
| Research Institution | Japan Advanced Institute of Science and Technology |
|---|
Principal Investigator |
林 都隆 北陸先端科学技術大学院大学, 先端科学技術研究科, 研究員 (60836857)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
| Keywords | 走査プローブ顕微鏡 |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
先ず、マイクロ波が印加可能な搬送型試料ホルダと試料ホルダ受け部を制作した。試料はマイクロストリップ線路基板に固定され、基板には着脱可能な同軸コネクタ（SMPM）及び試料表面上に金線を配した。受け部のガイドに沿ってホルダを押し込むことで、受け部側とホルダ側の同軸コネクタ同士が勘合し、マイクロ波の印加が可能となった。
次に、水晶振動子型の原子間力顕微鏡(AFM)プローブと搬送型プローブホルダ及びプローブホルダ受け部を制作した。プローブ先端にはNV中心を含有するマイクロダイヤモンドを接着した。水晶振動子はピエゾ素子により機械励振される。水晶振動子及び励振ピエゾの配線はホルダ下部の基板上の接点に接続されており、受け側のスプリングコンタクトと接触することで、電気的に接続される。水晶振動子はPLL機能を内蔵した励振用コントーラからの信号によって励振される。
次にAFM機構と制御プログラムを制作した。円筒形ピエゾ素子を用いた3軸スキャナに試料ホルダを取り付け、水晶振動子の振幅または共鳴周波数の変動から、プローブ先端との距離を一定に保つようZ軸をフィードバック制御する。また、XY軸をスキャンすることにより、試料表面のスキャンイメージを取得する。
次に、光学的磁気共鳴(ODMR)測定のため、パルスレーザー光学系、パルスマイクロ波系、光検出器(APD)等を整備した。レーザー及びマイクロ波のパルス化にはそれぞれ、音響光学変調器(AOM)、RFスイッチを用い、パルスシークエンス生成器によって制御される。
Z軸フィードバック制御、AFMスキャン制御、蛍光測定はFPGA (Field-Programmable Gate Array)とアナログ・デジタル入出力を内蔵した統合コントローラとAFM制御用プログラム（LabVIEWにて制作）によって行う。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
プローブ機構の制作と合わせて、性能を評価する第一段階として必要な、室温・大気中でのAFM制御機構とODMR測定機構の構築を進めてきた。AFM制御（Z軸フィードバック、XYスキャンイメージング）は完全ではないものの、最低限の測定ができる程度の完成度を経た。しかし、レーザーの入射角が試料に対して垂直であるため、プローブホルダが光軸と干渉し、プローブ先端にレーザーが導けない問題が発生した。これを解決するため、光軸と干渉しない簡易的な固定式のプローブホルダを作成し、ODMR測定を行った。そのため、本来のプローブホルダでのAFMフィードバック制御下におけるODMR測定の開発を進めた。
また、プローブ先端のダイヤモンドを先鋭化することも必要であり、集束イオンビーム(FIB)を援用したプローブ作成法の開発を進めた。
|
| Strategy for Future Research Activity |
プローブホルダと光軸の干渉を避けるため、レーザーの入射角が試料面に対し30度程度傾斜した光学系とAFM機構を複合した装置を新たに構築することにより、より最終目的である極低温・超高真空中で動作する走査プローブ顕微鏡装置（ユニソク社）の環境に近づける。また、プローブ先端のダイヤモンド中のNV中心に、レーザーをより高精度にフォーカスさせ、また熱ドリフトによるNV中心の移動をトラッキングするために、光学系に2軸ガルバノミラーシステムを統合する。水晶振動子の励振信号生成とPLL機能を統合コントローラに統合する。
集束イオンビーム(FIB)装置を用いて、ダイヤモンドを先鋭化し、プローブの性能向上を図る。
上記の室温・大気中の装置が完成後、性能評価として磁性試料（イットリウム鉄ガーネット等）の磁気ドメインを測定する。極低温・超高真空中の装置（ユニソク社）でも性能を評価し、比較する。
|
Research Products
(1 results)
