2021 Fiscal Year Research-status Report
ディラック電子をもつペロブスカイト酸化物ヘテロ接合によるトポロジカル超伝導の実現
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19K15448
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
小畑 由紀子 東京工業大学, 科学技術創成研究院, 特任助教 (70826255)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 薄膜作製 / ヘテロ界面 / 鉄系超伝導体 / トポロジカル絶縁体 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ペロブスカイト型酸化物BaBiO3(BBO)において電子ドープによりワイドギャップトポロジカル絶縁体を実現し、さらにホールドープ型酸化物高温超伝導体Ba1-xKxBiO3とのヘテロ構造を用いてトポロジカル超伝導を実現することである。そのため、分子レベルで構造を設計・合成できるレーザー分子線エピタキシー(MBE)を用いて薄膜を作製し、放射光を用いたその場での角度分解光電子分光(in-situ ARPES)を用いてディラック電子の存在及びその超伝導状態を直接検証する。 酸化物以外の材料として、昨年度は鉄系超伝導体FeSeに着目した。近年、FeSeにおいてホールドープによるトポロジカル絶縁体状態の発現が予測された[Z. F. Wang, et al., Nat. Mater. 15, 968-973. (2016).]。一方、電子ドープ側では超伝導状態(n型)であるため、ホールドープしたFeSeとのpn接合を用いたトポロジカル超伝導実現が可能となる。そこで第一段階として、パルスレーザー堆積法(PLD)を用いてMgO基板上にノンドープのFeSe薄膜の作製を行い、走査型透過電子顕微鏡による断面観察および輸送特性評価を行った。断面組成を調べると不均質に分布する過剰なFeの存在が明らかになった。そこで組成を均質化し不均一な界面歪を最小化させるため、本研究ではFeバッファー層を導入した。界面組成が不均質なFeSe/MgO薄膜では超伝導が不在な一方、均質に界面組成制御されたFeSe/Fe/MgO薄膜では超伝導転移が確認された。PLDによるFeSe薄膜では、薄膜/基板界面の組成制御が重要であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究の第一課題であった酸素欠損を用いたBBOへの電子ドープが未実施となったため、この課題に対する進捗は無かった。一方で、酸化物以外の材料探索として鉄系超伝導体FeSe/MgOとFeSe/Fe/MgOの薄膜作製、界面構造評価、電子輸送特性評価を行い、界面の組成制御を行うことで良質な超伝導エピタキシャル薄膜が得られることが確認された。
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Strategy for Future Research Activity |
BBO薄膜作製用のPLDチャンバーを稼働させるためにターボ分子ポンプのオーバーホールが必要だが、最終年度中の実施が厳しい見込みである。よって、最終年度はFeSeを用いた材料探索に集中する。具体的には、近接効果によるトポロジカル超伝導を誘起させるために、トポロジカル絶縁体として代表的なBi2Se3を選び、FeSe/ Bi2Se3ヘテロ薄膜を作製する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で学会参加の旅費が未使用になり、次年度使用額が生じた。次年度にて、データ解析に用いるソフトウェアのラインセンス購入に使用予定である。
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Research Products
(5 results)