2019 Fiscal Year Research-status Report
電流注入により室温発振するZnO系紫外ポラリトンレーザの実現
Project/Area Number |
19K15453
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
嶋 紘平 東北大学, 多元物質科学研究所, 助教 (40805173)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ZnO / microcavity / polariton laser / DBR / cavity polariton / sputtering / nickle oxide / reactive ion etching |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度には下記の2つの進展があった。
①誘電体ミラーを用いるZnO微小共振器を作製し光励起により室温で共振器ポラリトンを確認した。:プラズマダメージレスな反応性ヘリコン波励起プラズマスパッタ(R-HWPS)法により堆積された誘電体分布ブラッグ反射鏡(DBR)と、化学機械研磨により薄膜化された水熱合成ZnO単結晶を組み合わせ、ウエハスケール(10ミリ角)のZnO微小共振器(2λ)を作製した。ZnO活性層のバンド端発光の室温フォトルミネッセンス(PL)寿命は数百ピコ秒と長く、励起子寿命を制限する非輻射再結合中心を十分減らすことができた。1 mm径白色ビームの透過率スペクトルから計測された共振器のQ値は700程度と低くなく、従来よりDBR反射特性の面内均一性が優れる共振器を作製できた。室温における角度分解PL特性から、弱励起条件において共振器ポラリトンの存在を示す下枝ポラリトンのエネルギー分散が確認された。そのエネルギー分散の実験値は、同ZnO微小共振器をモデルにして計算された下枝ポラリトンのエネルギー分散とよく一致した。(→論文投稿中)
②ZnO微小共振器のメサ加工技術を確立しp型NiO/n型ZnOの電流-電圧特性から整流特性を確認した。:電流注入により共振器ポラリトンを観測すべく、反応性イオンエッチングによるZnO活性層のメサ加工およびR-HWPS法によるp型NiOとのpn接合形成に取り組んだ。反応性イオンエッチングによりZnO表面に導入される欠陥を減らす条件を探索し、ZnOバンド端発光の室温PL寿命を損なわない条件を見出した。これらの技術を総合して試作した電流注入型ポラリトンレーザ構造の電流-電圧特性にはダイオードのオンオフを示す整流特性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
光励起型のZnO微小共振器を作製し室温で共振器ポラリトンを確認したこと、およびZnO微小共振器のメサ加工技術を確立しp型NiO/n型ZnOの電流-電圧特性から整流特性を確認したことから、電流注入型ZnOポラリトンレーザ実証に向けて要素技術が確立されたと考えられる。
特に、下記の2点において従来の報告例よりも前進が見られた。(1)直径1 mmと比較的広い領域においてQ値が700程度の微小共振器を作製できたことから、誘電体DBRの反射率および反射帯域等の面内均一性が従来より優れる点、(2)直径80 umと比較的広い領域において、角度分解PL特性から共振器ポラリトンの存在が確認されたことから、ZnO活性層の膜厚や欠陥濃度の面内均一性が従来より優れる点。これまで報告されているZnO微小共振器では、室温における共振器ポラリトンの観測が数μm直径など非常に局所的な領域に限定されていたため、本成果はそのボトルネックを打ち破る結果であると考えている。
残る課題である、光励起による共振器ポラリトンのボーズ・アインシュタイン凝縮およびコヒーレント光発振、さらに電流注入によるそれらの実証に向けて準備が整っており、デバイス特性のチューニングを検討できるフェーズに達した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後取り組むべき点は下記の通りである。
①光励起型のZnO微小共振器構造において:角度分解反射測定により上枝ポラリトンのエネルギー分散の観測を目指す。但し、ZnOの場合には上枝ポラリトンがZnO活性層に吸収されるため観測が困難であると指摘されているため観測できない可能性がある。また、光励起密度を高めた場合の、共振器ポラリトンのボーズ・アインシュタイン凝縮とコヒーレント光発振を目指す。デバイス表面にDBRミラーが存在するため光励起により強励起することが難しい場合は、電子線などを使って強励起を試みる。
②電流注入型のZnO微小共振器構造において:p型NiO層をチューニングしエレクトロルミネッセンスおよび共振器ポラリトン観測を目指す。p型NiO層の導電性と透明性はそれぞれZnO活性層への正孔の注入効率と発光の取り出し効率に関わるが、トレードオフの関係であるため製膜条件のチューニングを慎重に行う。最終的に、電流注入によるZnOポラリトンレーザのコヒーレント光発振を世界で初めて達成したい。
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Research Products
(4 results)