2019 Fiscal Year Research-status Report
Band-gap energy control of graphitic carbon nitride for the creation of environment-friendly semiconductor material
Project/Area Number |
19K15455
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
浦上 法之 信州大学, 学術研究院工学系, 助教 (80758946)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グラファイト状窒化炭素 / 異種元素添加 / ホウ素 / 化学気相堆積 / フォトルミネッセンス |
Outline of Annual Research Achievements |
グラファイト状窒化炭素(g-C3N4)は低環境負荷層状半導体であるが、その半導体性質に関する検討例は少なく、また化合物化など材料設計に関する知見もない。代表者は異種元素添加により、そのバンドギャップエネルギーを2.8eVから変調可能である見通しをこれまでに得ている。本研究ではワイドギャップ化およびナローギャップ化に向けて異種元素添加技術を開発することを目指し検討した。 本年度はg-C3N4のワイドギャップ化を目指し、結晶作製条件によりB添加機構の解明その組成制御について検討した。基板上に膜状成長させる際の温度を変化させることでg-C3N4のCおよびNの化学量論比を意図的に理想から変化させることでBの取り込みを促進させることに成功し、その組成を最大で18%程度得ることに成功した。X線光電子分光(XPS)による結合状態の分析および各化学組成比の変化から、BはCとの置換でg-C3N4結晶中へ取り込まれることが分かった。またBはNとの結合状態で取り込まれることが活性化エネルギーの観点から示唆された。室温フォトルミネッセンス(PL)測定により、そのピークエネルギーが無添加の2.8eVから8%のB添加により最大で3.6eVまで偏移することを確認した。その一方で、B組成8%以上では、結晶内において相分離を引き起こしていることが予想され、PLピークに大きな変化は見られなかった。 また次年度に行う予定であるg-C3N4のナローギャップ化を実現するための方法としてシリコン添加(Si)を計画している。g-C3N4の作製温度である600度程度でのSiを供給可能な原料として有機金属の使用を予定している。そのため、熱化学気相堆積(CVD)装置の改造に取り組んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度では基板温度変化によるB組成変化を見出し、予備検討でのB原料の供給量変化による組成変化に関する知見と総じて、g-C3N4へのB添加機構を解明した。またB添加によるg-C3N4のワイドギャップ化を精度よく実証できるようになった。 これまでg-C3N4およびBの粉状原料のみ使用可能であったCVD装置の配管の増設および装置機密性の向上の観点から改造に取り組み完了した。また当初の計画ではSi原料に安定物質であるd1-トリエチルシランを利用予定であったが、原料メーカとの打ち合わせにより、更なる安定性および原料の熱分解の観点からジエチルシランへ使用原料の変更を決めた。 以上から、おおむね順調に進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
g-C3N4のナローギャップ化に向けてSi添加の実験を行う。原理的にはCとの置換によりg-C3N4のナローギャップ化が実現するはずであるため、今年度のB添加と同様にその取り込み様式の制御を可能とし組成単位で添加量増加を目指す。実験パラメータとして基板温度、成長圧力、ジエチルシランの供給量を系統的に変化させる。今年度においてB添加の実験時に得たCと置換しやすいg-C3N4の作製条件を参考に、パラメータを制御することでSi添加を実現する。フォトルミネッセンス(PL)および光吸収測定から発光エネルギーや吸収端波長を測定し、Si添加によるg-C3N4のナローギャップ化を実証する。
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Research Products
(4 results)