2019 Fiscal Year Research-status Report
Development of wideband programmable photonic integrated circuit
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19K15470
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
鴻池 遼太郎 国立研究開発法人産業技術総合研究所, エレクトロニクス・製造領域, 研究員 (20807557)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 光集積回路 / 結合リング共振器 / 光導波路 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究においては、リング共振器の2次元結合系を外部操作することで、光回路を動的に生成・消去することを目的としている。このためにはまず、リング共振器の2次元結合系の構造および、周回位相(共振波長)の設定に関する指針が必要となる。令和元年度においては、まずこれらに関して理論的な検討を行った。次に、初期検討として1次元的に結合したリング共振器(CROW)の設計および作製を行い、その基礎特性を測定した。また、この基礎評価をもとに、デバイスの広帯域化に重要であるインターリーバの設計を行った。 まず、理論検討の結果について報告する。本研究では、共振器系におけるバンド構造の計算を正確に行うため、転送行列法を用いた2次元結合リング共振器系のバンド計算手法を開発した。結果として、隣り合うリング間での周回位相差をπとすることで、メタ性のバンドギャップを形成できることがわかった。次に、線状に周回位相差が0となる領域を設けることで、光導波路が形成できることがわかった。 次に、実デバイス作製のための初期検討として、1次元のCROW構造を設計・作製した。設計にはFEMを用いた。作製したデバイス上の導波路の端部にはスポットサイズ変換器を形成し、レンズ付きファイバを近接させることで光を結合させ、その応答を測定した。結果としてリング半径を40μmとしたCROW構造ではFSRとして2.685 nm、リング半径を80μmとしたCROW構造ではFSRとして1.347 nmの値が得られた。これらの値を用いて、実験に使用することができる、オンチップ型のインターリーバの設計を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は当初の計画を鑑みて、おおむね順調に進展している。令和元年度においては、2次元結合リング共振器系の設計指針の確立と、デバイスの設計を目標としていたが、これらの事項はおおむね完了している。さらに、本研究では実証において必要であったインターリーバの設計に必要な情報として、リング共振器系のFSRを知る必要があることに思い至り、実際に1次元的に結合したリング共振器系を作製・評価し、そのFSRを測定した。これにより、次年度につながる設計の指針を得ることができた。さらには、実デバイスおよびインターリーバの設計を行うことができた。以上の内容から、順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度においては、当初の計画に従い、デバイスの作製・評価を行う。デバイス上に作製した各リング共振器は、導波路の作製精度の影響を受け、その周回位相が少しずつ異なっていると考えられる。本研究ではまず、その周回位相のずれをトリミングする方法を確立する。各リング共振器には、それらの近傍に小型金属ヒータが形成されており、小型ヒータに対して電流加熱を行うことで、熱光学効果により屈折率を微調整することが可能である。またリング共振器の内側には、リングに共鳴する光の一部を面垂直方向に放射するタップが形成されている。本研究においては様々な波長の連続発振(CW)光を入力し、リング系から放射される光をIRカメラにより観測することで、共振波長を測定しつつデバイス上のリングの共振周波数をヒータへの加熱によって揃える操作の確立を目指す。このようなトリミング操作が可能になると、次に光導波路の動的生成を試みる。最後に、帯域の拡大を目指し、インターリーバを用いた複数帯域に分割した光応答の測定を試みる。
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Causes of Carryover |
令和元年度においては理論的検討が主体であり、当初予定していた規模の2次元結合型リング共振器系の作製・実装まで至らなかったため、計画に変更が生じた。次年度に繰り越される金額の使用計画としては、これらの試作・実装費用および、実験用の消耗品としての使用を予定している。
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