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2019 Fiscal Year Research-status Report

地球環境計測に適した高出力中赤外マルチパルスレーザの研究

Research Project

Project/Area Number 19K15471
Research InstitutionNational Institute of Information and Communications Technology

Principal Investigator

青木 誠  国立研究開発法人情報通信研究機構, 電磁波研究所リモートセンシング研究室, 研究員 (40744652)

Project Period (FY) 2019-04-01 – 2021-03-31
Keywordsパルスレーザ / リモートセンシング / Tm,Ho:YLF / ライダー / DIAL
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、目に優しく高出力な2ミクロン帯中赤外マルチパルスレーザと、複数波長を高精度に制御する技術を組み合わせて、マルチ気象データ(風、水蒸気、温度、大気微量成分等)を広範囲かつ高精度に観測可能な、次世代の光リモートセンシング技術を確立することである。
アイセーフ波長である2ミクロン帯でレーザ発振可能なTm,Ho:YLFレーザロッドを用いて、レーザ発振器とレーザ増幅器を組み合わせて主発振器出力増幅器(MOPA: Master Oscillator Power Amplifier)を構築した。また、効率的なマルチパルス発振を行うために、Qスイッチ発振のタイミングを高度に制御するための制御回路を、マイクロコントローラーを用いて構築した。これにより、-80 ℃のレーザ媒質冷却温度にて、申請者のグループが開発した世界最高出力(7.24 W=107 mJ×70 Hz)のQスイッチ動作の伝導冷却Tm,Ho共添加固体レーザを超える10 W級(= 100 mJ × 2 pulse × 50 Hz)のQスイッチ平均出力を実現した。開発した高出力マルチパルスMOPAを差分吸収ライダー装置として用いるために、MOPAの発振波長を制御するためのシードレーザの波長制御技術を整備した。波長制御技術は、光ファイバー技術を基盤として開発を実施し、2ミクロン帯の光ファイバー結合型の位相変調器と10GHzのRF信号発生器を用いて、二酸化炭素のR30吸収線(2050.967 nm)から数10GHz程度周波数をシフトさせた周波数への長期的に安定したオフセットロック制御に成功した。また、差分吸収ライダーの吸収波長と非吸収波長のシードレーザの切り替え制御機構を、光ファイバー結合型の光スイッチおよび光カプラを用いて構成した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

開発した2ミクロン帯のTm,Ho:YLF MOPAは、100 mJ級のQスイッチTm,Ho共添加固体レーザとして世界最高クラスの10 W級(= 100 mJ × 2 pulse × 50 Hz)の平均出力を達成した。ライダー装置の性能指数は、その光送信機に用いられるパルスレーザのパルスエネルギーとパルス繰り返し周波数の平方根の積で表されるので、開発したパルスレーザを光送信機としたライダー装置を構築することで、昼夜関係なく高いSN比で対流圏内を三次元的に広範囲に観測可能なライダー装置の実現が期待できる。また、マルチ気象データ観測の主要技術である高精度な波長制御装置についても、2ミクロン帯に存在している二酸化炭素の吸収線への波長位相ロック制御技術、吸収線から数10 GHz離れた波長へのオフセットロック技術、2ミクロン帯の光ファイバー技術を組み合わせて、長期的に安定した波長制御が可能になった。
本研究では、目に優しく高出力な2ミクロン帯の中赤外マルチパルスレーザと、複数波長を高精度に制御する技術を組み合わせて、マルチ気象データ(風、水蒸気、温度、大気微量成分等)を広範囲かつ高精度に観測可能な、次世代の光リモートセンシング技術の確立を目指している。高出力パルスレーザ開発と高精度かつ高安定な波長制御装置の研究開発を次年度も継続することで、さらなる研究の発展が見込める。以上に述べたとおり、本研究課題は、おおむね順調に進展している。

Strategy for Future Research Activity

開発した高出力マルチパルスレーザ(スレイブレーザ)の波長を、波長制御装置で波長制御したシードレーザ(マスターレーザ)で制御する手法を開発する。パルス光の波長を制御・狭帯域化する方法としては、光注入同期技術が用いる。注入効率を上げるためには、マスターレーザとスレイブレーザのモード整合を取る必要があり、特に縦モードについては、共振器長をピエゾ素子で微調整して共振器長と一致させる必要がある。マルチパルス化した際は、個々のパルスにマスターレーザを光注入同期するために、ピエゾ素子のコントロールと連動して、共振器とマスターレーザの共振を高速で検出、共振器内のQ値を上げて、連続してパルス発振を行うための新しい技術の研究開発が必要となる。マイクロコントローラを用いて、マルチパルスレーザのための光注入同期制御装置を試作して、マルチ気象データを広範囲かつ高精度に観測可能な、次世代の光リモートセンシング技術のためのマルチパルスレーザの実現を目指す。

Causes of Carryover

波長制御装置に当初購入を予定していた汎用RF信号発生器ではなく安価な固定周波数の信号発振器を使用したことで、未使用金が生じた。
次年度には波長制御装置の高機能化を実施する予定である。未使用額はその経費に充てることとしたい。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 2019

All Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Presentation] 衛星搭載ドップラー風ライダーのための2µm高出力パルスレーザーの研究開発2020

    • Author(s)
      青木誠、佐藤篤、石井昌憲
    • Organizer
      一般社団法人レーザー学会学術講演会第40回年次大会
    • Invited
  • [Presentation] 衛星搭載ドップラー風ライダーのための 6W 級伝導冷却型 Tm,Ho:YLF MOPA の研究開発2019

    • Author(s)
      青木誠、佐藤篤、石井昌憲
    • Organizer
      第37回レーザセンシングシンポジウム

URL: 

Published: 2021-01-27  

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