2019 Fiscal Year Research-status Report
単一光子スペクトル計測を実現するオンチップ超伝導単一光子分光検出素子の開発
Project/Area Number |
19K15472
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
藪野 正裕 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究員 (70777234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超伝導光子検出器 / 単一光子分光 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では単一の光子を高波長分解能かつ高時間分解能で分光検出する分光フォトンカウンティング技術の確立を目指して、光導波路型分光器とマルチピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器及び信号多重化読み出し回路を一体に統合した単一光子分光検出デバイスの開発を目指している。本年度はNの2乗個のピクセルを2×N本の信号線で読み出し可能なアナログ信号多重化回路を備えたマルチピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器の開発と超伝導デジタルシグナルプロセッサを用いた極低温デジタル信号多重化回路への統合に取り組んだ。その結果、アナログ信号多重化回路を備えた16ピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器の出力を超伝導デジタルシグナルプロセッサを通してデジタルビットコードに変換して2本の信号線で読み出すことに成功し、全てのピクセルから単一光子検出信号を得られた。また光子検出システムの時間分解能に相当する検出信号のジッタは全てのピクセルにおいて80 ps以下という低ジッタを実現できた。本成果については現在論文投稿中である。一方で、アナログ信号多重化回路を備えた超伝導ナノワイヤ単一光子検出器において光子検出時の出力信号電流の隣接するピクセルへのリークが想定よりも大きく、このことが検出効率やジッタ特性の向上の妨げとなることが明らかとなってきたが、各ピクセルが持つ抵抗器の抵抗値とナノワイヤのインダクタンスのパラメータを調整することでこの問題は改善できる見通しである。 また、光導波路デバイスの評価に向けて光導波路デバイスやマルチピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器に光ファイバ及び光ファイバアレイを接続するために用いる導波路調心・接合システムの整備を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
アナログ信号多重化回路を備えたマルチピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器と超伝導デジタルシグナルプロセッサを用いたデジタル信号多重化回路を統合し、光子検出器システムの正常動作と80 ps以下の時間分解能を確認できた。ピクセル間の出力信号電流のリークの影響が明らかとなってきたが、素子パラメータの調整で改善できる見通しが立っている。また光導波路デバイスとの統合に向けて、素子評価のためのシステムの整備も進んでおり、おおむね順調に進められている。
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Strategy for Future Research Activity |
おおむね順調に進展していることから、現状の計画で進めていく予定である。光導波路デバイスとの統合を目指すとともに、マルチピクセル超伝導ナノワイヤ単一光子検出器の素子パラメータの調整による光子検出器システムの性能改善にも取り組む。
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Research Products
(1 results)