2020 Fiscal Year Annual Research Report
単一光子スペクトル計測を実現するオンチップ超伝導単一光子分光検出素子の開発
Project/Area Number |
19K15472
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Research Institution | National Institute of Information and Communications Technology |
Principal Investigator |
藪野 正裕 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所フロンティア創造総合研究室, 研究員 (70777234)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 超伝導光子検出器 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、単一光子を高効率・高時間分解能で分光検出する技術の開発を目的としている。高い検出効率と時間分解能を備えた超伝導ナノワイヤ単一光子検出器と光導波路型分光器、超伝導デジタル信号処理回路を統合した単一光子分光検出素子の開発を目指している。本年度は、まず昨年度から進めてきた行列読み出し型超伝導ナノワイヤ単一光子検出器アレイと超伝導デジタル信号処理回路の統合について、研究成果をまとめて論文投稿を行い、Optics Express誌に掲載された。次に、光導波路と超伝導ナノワイヤ単一光子検出器アレイの結合に向けて、素子の設計と作製プロセスの検討を行った。しかし、緊急事態宣言等の影響もあり、プロセス条件の抽出など作製プロセス評価に遅れが生じたため、素子の試作を完了するには至っていない。素子試作の完了に向けて引き続き研究開発を進めていく計画である。一方で、最近従来の超伝導ナノワイヤよりも10倍以上太い超伝導線路を用いても単一光子検出が可能であることが明らかにされ、大規模アレイ化を容易にする技術として期待されている。本研究では、光導波路結合型超伝導光子検出器の作製容易化とその大規模アレイ化への期待から、より太い超伝導線路を用いた単一光子検出器についての基礎研究も行ってきた。NbTiNの超伝導薄膜を用いて、線幅1~2 μmの超伝導線路を用いた素子を作製した。作製した素子をGM冷凍機に実装し、約2Kまで冷却して光応答を評価した結果、波長400~1,550 nmにおいて単一光子検出に成功した。また、この成果をもとに光導波路と結合した素子の設計と作製プロセスの検討を行っており、今後、光導波路結合型素子の試作を進める計画である。
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Research Products
(3 results)