2020 Fiscal Year Research-status Report
Evaluation of robustness of reactor core cooling system with natural circulation to hydrogen gas
Project/Area Number |
19K15473
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
山本 泰功 北海道大学, 工学研究院, 助教 (10800906)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 静的炉心冷却系 / 自然循環 / 凝縮熱伝達 / 非常用復水器 / 非凝縮性ガス / 水素 |
Outline of Annual Research Achievements |
非常用復水器(IC)は自然循環を利用した静的炉心冷却系であり、電源喪失時にも炉心冷却機能を担うことが期待できる。福島第一原子力発電所1号機においても津波到達直後には炉心冷却に使用されたが、事故が進展してから再起動を試みた際には起動に失敗している。これは、隔離弁のフェイルクローズの設計によるものであるが、仮に弁が開いていたとしても水の放射線分解やジルコニウム・水反応によって発生する水素がIC配管に流入すれば、自然循環の流れを阻害し、やがては冷却不全に陥る可能性がある。本研究課題では、ICと同様の構造を持った自然循環ループを用いた実験及び実験解析によって配管に流入する水素の影響を評価することを目的としている。 今年度は、水素影響の模擬のために使用しているヘリウムの注入速度と注入量を精密に制御するためにマスフローコントローラを導入し、注入ラインの改造を行った。実験時には、まずヘリウムを注入しない状態で自然循環流を形成させ、時間平均の入熱量と除熱量が釣り合う準定常状態に達するまで運転を続けた。その後、ヘリウムを一定の速度で注入し、再び準定常状態に達するまで運転を続けた。ヘリウムを事前注入した昨年度の実験と同様に、ヘリウム注入量が多いほど準定常状態時の圧力が上昇し、自然循環しにくくなる傾向が確認された。また、ヘリウム注入前後の準定常状態における伝熱管の熱伝達率には大きな変化は見られず、ヘリウムは伝熱管通過後の配管に滞留していると考えられる。 実験解析においては、伝熱管周辺と循環ループ全体の解析体系を作成し、ヘリウム非注入時の条件を対象とした解析を実施した。伝熱モデルを変更した解析を試み、伝熱管内の蒸気の全量凝縮については再現できたが、温度分布の再現は困難であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ヘリウム注入ラインを改造し、より精密に注入量を制御した実験データを取得することが可能になった。実験解析においては、ヘリウム非注入時の条件を対象とした解析を実施したが、伝熱モデルを変更しても伝熱管内の温度分布の再現が困難であったため、伝熱管の区間については実験データから推定される熱伝達率を任意に設定するなどの取扱いに変更することを今後検討したい。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、再現性の向上やヘリウムの注入速度の影響がないかを確認するために追加の実験を行う予定である。また、ヘリウム注入時の実験条件を対象とした実験解析を実施し、実験装置の寸法の影響などについても考察を行う予定である。
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Causes of Carryover |
次年度も追加実験を予定しているため、実験消耗品等の購入予算に充てる予定である。
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Research Products
(5 results)