2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15475
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
叶野 翔 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 主幹研究員 (00742199)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
Keywords | 放射線表面活性 / 濡れ性 |
Outline of Annual Research Achievements |
材料の濡れ性は固相と液相の界面が関わる界面現象であり、濡れ性の改善に伴い材料の限界濡れ温度、限界熱流速、ライデンフロスト温等の伝熱特性が改善されることから、工学的に重要な研究テーマとして数多くの研究知見が報告されてきている。本研究では、高温、高圧、高照射環境下における濡れ性の予測とその高度利用によって、材料の伝熱特性の改善をすること目的としており、液相側での粘弾性変化やラジオリシス、固相側における表面構造や表面活性効果による濡れ性について系統的調査を実施し、極限環境下における材料の濡れ性を科学する。特に、申請者がこれまでに実施した放射線誘起表面活性(RISA)効果に関する濡れ性と微細組織との相関評価においては、材料表面への親水基や疎水基の化学吸着の様子を高分解能で観察することに成功しており、今後は、これらの親水性、疎水性因子の存在状態と動的な濡れ性との相関を明らかにすることよって、材料の電熱性や腐食特性の改善に向けた材料開発への応用が期待できる。 これらより、令和2年度は動的濡れ性に対するRISA効果の影響評価に向け、試料作製ないしは、酸化膜の成膜条件の検討を実施した。その結果、酸化膜の成膜前に試料表面の清浄度を制御することによで、緻密かつ均一な酸化被膜を製膜できることを確認した。また、当該試料を用い、これらの静的な濡れ性評価を実施した。その結果、試料表面に存在する親水基ならびに疎水基の存在状態についが材料のマクロな濡れ性を制御していることを確認した。なお、これらの知見は、従前研究と類似していることを確認した。動的濡れ性の評価については、関係研究者との打合せを行い、実験体系の最適化は概ね完了した。ただし、学外での実験のため、当初の計画通りに実験を実施することが出来なかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
動的濡れ性評価のための実験準備、ならびに、研究打合せを行った。ここでは、高速ビデオカメラを用いた評価を実施する計画であるが、本研究グループでのこの実験機器を持ち合わせておらず、当該実験は研究協力者の拠点にて実施する計画である。しかし、全国的な外出自粛のため、当初、計画してた実験は実施されなかった。そこで、これの代替実験ないしは、遠隔実験についての検討を開始しており、次年度中に動的な濡れ性の評価を完了する計画としている。
|
Strategy for Future Research Activity |
実験実施が可能となり次第、動的な濡れ性評価を実施する。ここでは、静的と動的な濡れ性との相関評価からスタートし、その後、滴下する溶液の密度や流体特性を制御した実験へと発展させる。特に、これまでの研究取組より、RISA効果によって試料表面に存在する親水基、疎水基の割合ないし量が制御されることが確認されており、動的濡れ性に対し、これらの親疎水性因子がどのような影響を与えるのかを精緻に評価する計画とている。
|
Causes of Carryover |
全国的な外出自粛の影響のため、当初計画の実験を関するすることが出来なかった。このため、当該実験に係る研究経費を執行することが出来ず、残額が発生した。当初計画の実験については、令和3年度中に実施する計画であって、これに伴い、適宜、予算執行を行う計画である。
|