2021 Fiscal Year Research-status Report
Accurate prediction of low-energy deuteron-induced reactions for development of small neutron source
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19K15483
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Research Institution | Japan Atomic Energy Agency |
Principal Investigator |
中山 梓介 国立研究開発法人日本原子力研究開発機構, 原子力科学研究部門 原子力科学研究所 原子力基礎工学研究センター, 研究職 (30758610)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 重陽子 / 中性子源 / PHITS |
Outline of Annual Research Achievements |
重陽子加速器を用いた小型中性子源における遮へい設計シミュレーションの高度化に向け、加速器の構造材となる核種(Al-27, Cu-63,65, Nb-93)に対する重陽子核反応データの評価を行った。評価に当たっては、遮へい設計に大きな影響のある中性子やガンマ線放出データの精度に特に注意を払った。 評価した核反応データの検証として、放射線輸送計算コードPHITSを用いて、重陽子の飛程よりも厚い標的からの中性子やガンマ線収量に関する巨視的シミュレーションを行った。その結果、本評価データに基づいたPHITSシミュレーションは、PHITSに内蔵されている核反応モデルや既存の重陽子核反応データベースTENDL-2021に基づいたPHITSシミュレーションよりも実験値の再現性が大きく向上することが分かった。 なお、今回評価したAl-27, Cu-63,65, Nb-93に対する重陽子核反応データは、汎用核反応データベースJENDL-5中の重陽子サブライブラリの一部として既に公開されている。また、その他の特記事項として、昨年度に執筆・投稿したLi-6,7, Be-9, C-12,13に対する重陽子核反応データベースJENDL/DEU-2020の開発に関する論文が、第54回(2021年度)日本原子力学会賞論文賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」欄に記載の通り、中性子源における遮へい設計シミュレーションの高度化に向け、加速器構造材に対する重陽子核反応データの評価を行った。また、特に遮へい設計に大きな影響を及ぼす中性子やガンマ線放出データについて、実験値の予測精度が高いことを巨視的シミュレーションからも確認した。 本研究では、重陽子加速器を用いた小型中性子源について、発生中性子の特性だけに限らず、遮へい設計等も含めた総合的な性能評価を行うことを目的としている。本年度の成果はこの目的を達成する上で重要なものとなった。以上から、おおむね順調に進展していると自己評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では、今年度に小型中性子源の性能評価のためのシミュレーションを行う予定であった。しかし、加速器構造材も含めたより現実に即した体系で精度の良いシミュレーションを行うためには構造材となる核種からの影響も重要だと考え、研究期間を一年延長し、今年度は構造材に対する重陽子核反応データの評価を行うこととした。 そのため、次年度は小型中性子源に関する各種のシミュレーションを行う。このシミュレーションを通じて減速体や遮へい体の設計を行い、重陽子加速器を用いた小型中性子源の総合的な性能評価を実施する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の流行により予定していた国内および海外出張がキャンセルとなったため、その旅費分だけ次年度使用額が生じた。次年度使用額は令和4年度分経費と合わせて、令和4年度に予定している出張に係る費用や論文投稿料等の研究成果公開に係る費用として使用する。
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Research Products
(4 results)