2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15487
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
芳賀 一寿 秋田大学, 国際資源学研究科, 准教授 (10588461)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 銅鉱石 / 有機炭素 / 浮選 / 浸出 / 溶媒抽出 / 炭酸塩鉱物 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は、有機炭素を含む銅鉱石ならびに浮選により銅成分を濃縮した銅精鉱に対し、予察試験で明らかにしている高温高圧浸出条件を用いた銅浸出を行った。その結果、パルプ濃度を100-400 g/Lに変化させて高温高圧浸出を行ったところ、パルプ濃度100 g/Lでは銅と鉄の浸出率が90%以上であったが、パルプ濃度200 g/Lでは銅の浸出率が80%程度、鉄の浸出率が7%程度に低下し、銅の選択的な浸出が確認された。また、パルプ濃度200 g/Lでは銅濃度が4.55 g/L、鉄濃度が1.10 g/Lの浸出液が得られた。パルプ濃度300 g/Lでは、銅と鉄の浸出は確認されなかったが、これは投入した硫酸のほとんどが炭酸塩鉱物と反応し、pHが中性領域まで上昇したため、酸が銅鉱物との反応しなかったことが原因だと考える。この炭酸塩鉱物を除去するため、硫酸の濃度を0.1-0.5 mol/Lに変化させて予備浸出を行った結果、0.3 mol/L以上の硫酸を用いて予備浸出することで、Dolomiteのピークが小さくなることを確認した。さらに、浮選により得られた銅精鉱に対し高温高圧浸出を行った結果、高パルプ濃度では有機炭素を含む銅鉱石を浸出したときと同様に浸出率は低下する傾向がみられたが、パルプ濃度100 g/Lでは銅浸出率が91.9 %で浸出液中銅濃度が10.83 g/Lと高い銅回収率と銅の濃縮の両方を達成することができたため、次年度の溶媒抽出試験で利用可能な溶液を回収することができた。また、2020年度導入予定だった「溶媒抽出-電解採取連続実験システム」を完成させたことから、次年度の溶媒抽出と電解採取で活用する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度に実施予定であった銅鉱石および浮選により銅濃縮および不純物除去を行った銅精鉱に対する高温高圧浸出試験を行い、さらに最適条件の選定を行った。また、本年度導入予定であった「溶媒抽出-電解採取連続実験システム」を設計、制作し、導入するなど、円滑に研究を実施てきていることから、「(2)おおむね順調に進展している。」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究初年度(2019年度)および本年度(2020年度)の研究成果より、既存のプロセスでは処理が困難な有機炭素を含む銅鉱石に対する処理プロセスの活路を見出すことができた。具体的には、有機炭素を含み、浸出工程における銅の浸出を阻害するドロマイトを、浮選および予備浸出により除去できることを明らかにしたほか、高温高圧浸出を適用することで、黄銅鉱を含む銅鉱石から効率的に銅を分離回収できた。 最終年度となる2021年度は、これまで得られた分離方法、分離条件に加え、溶媒抽出を用いた銅濃縮および鉄分離の可能性を検討する。溶媒抽出では、2020年度に導入した「溶媒抽出-電解採取連続実験システム」を使用し、連続式での銅濃縮、鉄分離条件の検討を行う。最終的にはこれら一連の要素技術を組み合わせることで、有機炭素を含む難処理鉱物にも対応した鉱物処理・精製プロセスを構築する。
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