2021 Fiscal Year Research-status Report
Development of high-accuracy geothermal reservoir model, considering the time-dependent behaviour of rock mass discontinuities
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19K15493
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
才ノ木 敦士 熊本大学, 大学院先端科学研究部(工), 准教授 (70802049)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 断層破砕帯 / き裂ネットワーク / b値 / 誘発地震 / 原位置応力 |
Outline of Annual Research Achievements |
断層周囲の複雑なき裂ネットワークに起因するメートルスケールの岩盤剛性の不均質性・異方性を等価連続体モデルを用いて考慮した数値解析モデルを作成した。そして、そのモデルを用いて、断層破砕帯内部の応力解析を実施し、き裂ネットワークによって生じる応力異常を定量的に評価した。その結果、破砕帯内部では局所的に応力集中が生じており、それが誘発地震の原因となる可能性があることが判明した。また、シミュレーションされた断層破砕帯内部の応力分布から地震の規模を推定し、地震の規模の分布を表す指標 (b値)が、実際に大深度地下鉱山などで観測された誘発地震から計算されたb値と非常に良い一致を示すことが分かった。すなわち、これは実際に生じる誘発地震の規模が、岩盤の初期応力に大きく依存していることを示唆しており、初期応力状態を正確にシミュレーションした上で、地熱開発に係る流体の生産・注入をシミュレーションする必要があることを示唆している。 さらに、上記の断層破砕帯内部のき裂ネットワークを考慮した応力シミュレーションを実施した後に、断層面上での誘発地震シミュレーションを実施した。その結果、断層面上に数百の地震群をシミュレーションすることに成功した。従来、このような多数の地震群のシミュレーションに成功した事例はなく、誘発地震研究に大きく貢献したと考えている。また、シミュレーションした地震群は、間隙水圧の増加と共に発生頻度が増加するが、間隙水圧がある一定の値まで増加すると、頻度が減少する代わりに、規模が大きくなることが分かった。これはb値の低下を示している。実際の地熱貯留層においても、大きな地震が発生する前にb値が低下することが知られており、数値シミュレーション結果とフィールドで観測される誘発地震の特性が良い一致を示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
断層・断層破砕帯に関する大規模数値シミュレーションに関しては、当初の予定より順調に進んでおり、当初予定していなかった断層破砕帯内部の応力解析手法の開発まで実施することができた。
しかしながら、岩盤不連続面の微小応力状態を調査する実験・数値シミュレーションに関しては、当初の予定よりも遅れている。これは、岩盤不連続面の微小領域を再現した数値シミュレーションが予想以上に不安定であり、安定化させるための試行錯誤に時間を要しているためである。
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Strategy for Future Research Activity |
断層・断層破砕帯に関する大規模シミュレーションに関しては、これまでの結果を踏まえ、断層破砕帯内部及び断層面で発生する誘発地震の、動的特性や深度によるb値の違いなど、様々な観点から数値シミュレーションを実施する予定である。 岩盤不連続面の微小応力状態に関する実験・数値シミュレーションについては、解析を安定化させる方法を考案すると同時に、次の段階のクリープせん断試験の準備を進めている。
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Causes of Carryover |
当初、2021年度にアメリカのペンシルベニア州立大学で透水せん断試験を実施する予定であった。しかしながら、透水せん断試験を実施する前に終了する必要がある岩盤不連続面の微小応力状態に関する数値シミュレーションの進捗に遅れがあったために、2021年度に実施することができなかった。2022年度は、ペンシルベニア州立大学への出張を2回程度計画しており、一回目で透水せん断試験の計画及び実験備品の設計を実施し、2回目の出張で透水試験を実施することを計画している。
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