2019 Fiscal Year Research-status Report
ペロブスカイト太陽電池と構成材料の光キャリアダイナミクスとその電子状態解析
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19K15521
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
濱田 守彦 神戸大学, 分子フォトサイエンス研究センター, 講師(研究機関研究員) (70827948)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ペロブスカイト / 時間分解EPR法 / 電荷分離状態 / 有機薄膜太陽電池 |
Outline of Annual Research Achievements |
近年精力的に研究されているペロブスカイト太陽電池では、電子・正孔輸送材料を用いることでペロブスカイト中に生成した励起子を高効率に乖離させています。一般的に電子輸送材料には二酸化チタンやフラーレン誘導体が用いられています。本研究では時間分解常磁性共鳴(TREPR)法を用いてペロブスカイト中における光誘起電荷分離状態を直接観測することにより、ペロブスカイト太陽電池における電子移動メカニズムの解明を目的としています。高効率化を目指す上で、各現象の詳細を知ることは大変重要であり、電荷分離状態の観測は太陽電池の初期電荷分離状態を知る上で重要と考えています。 作製したペロブスカイトの試料を測定した結果、電荷分離状態の観測が難しく、また再現性も乏しいことがわかりました。要因は以下の2通りと考えています。①電荷分離状態が短いために観測できない。②生成された電荷がトラップサイトに捕捉されて観測できない。 そこで、ペロブスカイト太陽電池と同様に精力的に研究されており、トラップサイトの報告例の多い有機薄膜太陽電池材料を用いて、トラップサイトから電荷を解放する研究に着手しました。アイデアの元は2報の先行研究で、1報目ではPush光を導入して励起子のホットな状態を保つことが電荷分離の高効率化につながると報告しています。また、2報目ではPush光の波長依存性により材料のトラップサイトの深さを測定できることを報告しています。これらの知見を鑑みて、Push光を導入した2色TREPR法を用いるとトラップサイトに捕捉されている電荷の解放を観測できると考えました。2色TREPRの測定系を新規に構築・開発した結果、トラップサイトから解放された電荷による新たな電荷分離状態の観測に成功しました。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初予定していたペロブスカイトの電荷分離状態の観測は行き詰っていますが、行き詰る過程で観測方法の課題を見つけられました。新規に構築・開発した2色時間分解常磁性共鳴(TREPR)法を有機薄膜太陽電池材料にてトラップサイトから解放された電荷による電荷分離状態の観測を行えたことから、新たな課題の発見とその解決方法を見出せたことから、(2)としました。
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Strategy for Future Research Activity |
現在有機薄膜太陽電池材料における時間分解常磁性共鳴(TREPR)法および2色TREPR法を用いて観測した電荷分離状態の解析を行っています。成果を纏めた後に、当初の試料であるペロブスカイト材料に対して2色TREPR法を用いて電荷分離状態の観測を行う予定です。
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