2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of perfluorinated multiblock amphiphiles
Project/Area Number |
19K15534
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
佐藤 浩平 東京工業大学, 生命理工学院, 助教 (40825197)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機化学 / 超分子化学 / 両親媒性分子 / イオンチャネル / 刺激応答性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に合成法を確立した両親媒性フルオラス分子をオリゴマー化することで、両親媒性複数回膜貫通型フルオラスナノチャネル分子を合成するとともに、脂質二重層内部におけるナノチャネルの形成とその物質輸送能に関する検討を行った。まず、合成した分子をリン脂質から成るリポソーム分散液と混合し、発光スペクトル測定および蛍光顕微鏡観察によって脂質二重層内部への局在化を確認した。この際、両親媒性複数回膜貫通型フルオラスナノチャネル分子が脂質二重層に対して異方的に配向することがゼータ電位測定により明らかとなった。次に、pH応答性蛍光色素であるHPTSを内包した脂質リポソームを用いて、両親媒性複数回膜貫通型フルオラスナノチャネル分子の膜間イオン透過能を評価したところ、この分子は脂質二重層内部において三量体構造の超分子イオンチャネルを形成していることが示唆された。そこで、両親媒性複数回膜貫通型フルオラスナノチャネル分子を導入した脂質二重膜に対して電圧を印可し、その際に観測される電流値を分析することで、超分子イオンチャネルのイオン透過能をより詳細に検討した。驚くべきことに、今回得られた超分子イオンチャネルは印加電圧の向きと大きさに対して鋭敏に応答し、イオン透過能を変化させることが明らかとなった。これは、フッ素原子の導入により膜貫通部位に双極子が発生したことが理由であると考えられる。加えて、ナトリウムイオンチャネル遮断薬として知られる(R)-プロプラノロールとそのホスト分子であるβ-シクロデキストリンを交互に添加することで、イオン透過能を異方的かつ可逆的に変化させることにも成功した。本研究で開発した超分子イオンチャネルのように、複数の刺激に対して異方的かつ可逆的に応答する人工イオンチャネルは前例が無く、当初想定していた以上の研究成果を得ることに成功した。
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