2019 Fiscal Year Research-status Report
キラル有機ホウ素触媒を用いた無保護糖活性化を基盤とする直截的分子変換法の開発
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19K15553
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
鍬野 哲 千葉大学, 大学院理学研究院, 特任助教 (50733531)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 有機ホウ素触媒 / ベンズアザボロール / 無保護糖 / 直截的分子変換 / スルホニル化 / アシル化 / 速度論的分割 / 保護基 |
Outline of Annual Research Achievements |
糖類の合成には歴史的に多段階を要する保護/脱保護法が汎用されてきたが、近年、保護/脱保護法に頼らない一段階での無保護糖の位置選択的官能基化法の開発が求められている。今年度は単段階での無保護糖の位置選択的なスルホニル化の検討を行った。独自に開発したキラルベンズアザボロール触媒をガラクトース誘導体に作用させ、6位の第1級水酸基の存在下、3位の第2級水酸基が位置選択的にスルホニル化される反応条件を精査した。検討の結果、触媒にシンコナアルカロイド由来のキラルベンズアザボロール、共触媒にN-メチルイミダゾール、溶媒にアセトニトリル、塩基に炭酸ナトリウムを用いることで、ガラクトース誘導体が高収率、高選択的に進行することを見出した。更に、最適条件下、様々な無保護糖の位置選択的スルホニル化が高収率、高選択的に進行することも見出した。スルホニル化に加え、位置選択的なアシル化にも成功した。 また、糖類のcis-1,2-ジオール部位の立体配置に応じたキラルベンズアザボロール触媒を選択することで、適用可能な基質一般性の拡大を行った。 更に、本手法を活用し、位置選択的スルホニル化を介した無保護糖の速度論的分割を検討した。検討の結果、ガラクトース誘導体とグルコース誘導体、アラビノース誘導体とキシロース誘導体等の分割を達成した。 目的物の変換反応を検討し、アセチル基の存在下、ノシル基を糖化学におけるオルソゴナルな保護基として活用した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究のはじめの目的は、キラルホウ素触媒を用いる「様々な無保護糖」に対する「多様な官能基」の一段階導入法の開発である。本年度の研究で、ガラクトース、ガラクトサミン、アラビノース、ラムノース、マンノース等の様々な無保護糖に対する位置選択的スルホニル化反応の開発に成功した。更に、位置選択的なアシル化も進行することを見出した。本反応系を活かし、糖類の速度論的分割も行った。
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Strategy for Future Research Activity |
ホウ素触媒と無保護糖より生じる求核性ボレートアニオンに対し、適切なグリコシルドナーを設定することで二糖合成に応用できる。例えば、10種の無保護糖と10種のグリコシルドナーの組み合わせにより100種の二糖類が合成標的となり、二糖ビルディンググロック群の迅速合成が可能になる。アノマー位の立体制御に関し、2位アセチル基の隣接基関与を活用するβ選択的グリコシル化を行うと共に、グリコシルドナー上の脱離基と活性化剤の効果について精密な検討を行う。
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