2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of strategy toward the unified total synthesis of natural and artificial daphnan/tigrian diterpenoids and discovery of new functional molecules
Project/Area Number |
19K15554
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
長友 優典 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 講師 (70634161)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 全合成 / 天然有機化合物 / 中分子 / テルペノイド / ラジカル反応 / 高酸化度天然物 / 統一的合成戦略 / リード化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
【背景】ダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペン類(分子量分布: 350-900)は、単離総数400を超す巨大天然物群である。これらの天然物は、置換基パターンによって多岐に渡る重要な生物活性を発現することが知られており、新薬創製に繋がる大きな可能性を秘めた化合物である。近年、分子量400-4,000の中分子天然物が低分子・バイオ医薬の優位点を併せ持つポストバイオ医薬として注目を集めているが、上記の高酸化度中分子ジテルペンを医薬品開発のリード化合物として活用する事は、やはりその化学構造の複雑さから極めて困難な課題である。本若手研究ではこの社会的要請の高い問題の解決に向け、橋頭位ラジカルによる環化反応を鍵とした天然・人工ダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペン類の網羅的全合成戦略の確立を計画した。本研究は、未成熟であるダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペンの合成化学の発展に大きく貢献する。更に、新たな医・農薬品のリード化合物の発見へと寄与し、広範な科学技術・公衆衛生分野に大きな影響を与える基礎研究である。 【方法・結果】本年度は、前年度までに合成を達成したダフナン・チグリアン・ラムノフォランジテルペンの共通炭素骨格を備えた3環(ABC環)性合成中間体の構築法をより改善し、共通中間体から、5種類の天然物の全合成を達成した。 すなわち、反応条件の最適化およびワンポット化による精製条件の最適化を行い、既存の合成ルートの大幅な短工程化を実現した。続いて、共通中間体から数工程の化学選択的変換により、C環に種々の官能基を導入した。その結果、ダフナンジテルペンであるレジニフェラトキシン、チニアトキシン、チグリアンジテルペンであるプロストラチン、ラムノフォランジテルペンであるクロトホルボロン、ランドインAの全合成を、いずれも出発物質から20前後の工程で達成した。
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