2020 Fiscal Year Annual Research Report
Development of New Lewis Base Catalyst based on the Aromaticity of Cyclopropenones
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19K15569
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
下田 康嗣 熊本大学, 大学院生命科学研究部(薬), 特任助教 (50761350)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Lewis塩基 / シクロプロぺノン / 芳香族化合物 |
Outline of Annual Research Achievements |
シクロプロぺノン類は、三員環上に二重結合およびカルボニル基を有する特徴的な構造からなる。このため、芳香族性を有し、カルボニル基が高度に分極を有する。この興味深い構造のため、従来より幅広く興味を持たれていた化合物群であるが、その利用は反応素子として用いられてきた例がほとんどであり、これまでに触媒としての利用がなされていなかった。本研究では、シクロプロぺノンの分子内の分極に由来する電子供与能に着目し、Lewis塩基触媒としての有用性を明らかにした。具体的には、シクロプロぺノンやシクロヘプタトリエノン化合物が、トリクロロシラン等の塩化ケイ素化合物を活性化するLewis塩基触媒として機能することを見出し、不飽和カルボニル化合物の1、4ー還元反応が進行することを明らかにした。さらに最終年度では、本触媒系の不斉反応への適用を目指し、研究を行なった。この結果、シクロヘプタトリエノン構造にキラルなアミン構造の導入が容易に進行することを見出し、複数の触媒の合成に成功した。さらに、本触媒を塩化ケイ素化合物を用いる反応系に適用したところ、優位なエナンチオ選択性が発現することを見出した。同様の反応を触媒する分子としては、N-オキシドやホスフィンオキシド類が知られているが、本触媒系では炭素ー酸素の分局に由来するため、既存の触媒とは一線を画し、新たな概念を提供する。本触媒系の研究の今後の進展により、様々な反応系への応用が期待でき、医薬品等の有用化合物群の開発の一助となることを期待する。
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