2019 Fiscal Year Research-status Report
アリルアルコールのエノラートおよびホモエノラートへの変換を利用する不斉反応の開発
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19K15576
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
崔 允寛 岐阜大学, 工学部, 助教 (60783454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アルカリ金属 / アルコール / 不斉反応 / クラウンエーテル |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の不斉触媒は二種類に大別される。すなわち金属と不斉配位子から構成される不斉金属触媒と、金属を含まない有機分子触媒である。不斉金属触媒は高い反応性を示すことが知られており、これまで に様々な不斉反応に利用されてきた。しかしながら用いられる金属は主としてパラジウム、ニッケル、ロジウム、ルテニウムなどの遷移金属であり、資源量に乏しく高価であり、また毒性が高いという大きな問題がある。有機分子触媒は金属を含まないためこのような問題は存在しないが、反応性が低いため適用可能な反応と基質に大きな制限がある。一方、申請者が提案する不斉アルカリ金属触媒においては、アルカリ金属が豊富に存在するため安価で毒性が低い。またアルカリ金属は電気陰性度が小さく他の原子とイオン結合を形成するため、対アニオンが高い反応性を有する。よって従来の不斉触媒が抱える上述した二つの問題を解決し得る点が、不斉アルカリ金属触媒独自の大きなメリットである。 申請者は既に、カリウム塩基とアリルアルコールを反応させた後、アルデヒドを加えると、アリル異性化/アルドール反応/分子内ヒドリド移動を経て、1,3-ジオールがジアステレオ選択的に得られることを明らかにしている。1,3-ジオールは様々な生理活性物質に見られる重要な骨格である。よってジアステレオのみならずエナンチオ選択的に1,3-ジオールを合成するため、不斉カリウム金属触媒を用いて本反応の不斉化に挑戦した。カリウム上に不斉環境を構築するための不斉配位子として、キラルクラウンエーテルに注目し設計・合成を行った。その結果、BINOL骨格の3,3'位に4-トリル基を有し、酸素原子を6つもつキラルクラウンエーテルを用いた場合、目的とする1,3-ジオールが高いエナンチオ選択性で得られることを見出した。今後はより高いエナンチオ選択性を発現させるべく、触媒構造の最適化を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の目論見通り、カリウム塩基とキラルクラウンエーテルから構成される不斉カリウム触媒が、不飽和アルコールを基質とする様々な不斉反応において高いエナンチオ選択性を発現させることが明らかとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後はより高いエナンチオ選択性を発現させるために、キラルクラウンエーテルの構造の最適化を行う。現在はキラルな骨格としてBINOLを選択しているので、BINOLの3,3'位の置換基について更なる検討を行う。また6位の置換基やH8-BINOL骨格についても試してみる予定である。 さらにBINOL骨格以外についても適用可能かどうか検討する。そのようなキラルな骨格としてはSPINOLやTADDOLなどを想定している。
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Causes of Carryover |
年度の途中で現在の岐阜大学に移ってきたので、247868円は以前に所属した研究所での支出です。
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