2020 Fiscal Year Annual Research Report
アリルアルコールのエノラートおよびホモエノラートへの変換を利用する不斉反応の開発
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19K15576
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Research Institution | Gifu University |
Principal Investigator |
崔 允寛 岐阜大学, 工学部, 助教 (60783454)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | キラルクラウンエーテル / カリウム / アルコール / 不斉合成 |
Outline of Annual Research Achievements |
私は独自に開発したキラルクラウンエーテルとカリウム塩基触媒を組み合わせたキラルカリウム触媒を用いて、主に二つの不斉反応の開発を行なった。1つはアリルアルコールの異性化/不斉aldol-Tishchenko反応による1,3-ジオールの立体選択的合成である。カリウム塩基とアリルアルコールを反応させた後、アルデヒドを加えると、アリル異性化/アルドール反応/分子内ヒドリド移動を経て、1,3-ジオールがジアステレオ選択的に得られることを明らかにした。1,3-ジオールは様々な生理活性物質に見られる重要な骨格である。よってジアステレオのみならずエナンチオ選択的に1,3-ジオールを合成するため、キラルカリウム塩基触媒を用いて本反応の不斉化に挑戦した。カリウム上に不斉環境を構築するための不斉配位子として、キラルクラウンエーテルに着目し設計・合成を行った。その結果、BINOL骨格を有し、酸素原子を6つ持つキラルクラウンエーテルを用いた場合、目的とする1,3-ジオールが高いエナンチオ選択性で得られることを見出した。2つ目はε-ヒドロキシ-α,β-不飽和カルボニル化合物の分子内不斉環化反応である。この種の反応はキラルなヘテロ環合成に有用であり、これまでに有機分子触媒を用いる例が報告されているが、長い反応時間が必要な上、基質一般性に乏しいという欠点があった。このような問題を解決するため、私は反応性の低いε-ヒドロキシ-α,β-不飽和エステルを基質として用い、キラルクラウンエーテルを配位させたカリウム塩基触媒を作用させたところ、不斉分子内オキサマイケル付加反応が円滑に進行し、対応するテトラヒドロフランが高いエナンチオ選択性で得られることを見出した。
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Research Products
(4 results)