2019 Fiscal Year Research-status Report
Construction of visible-light-responsive coordination cages toward unprecedented photoreactions
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19K15581
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
竹澤 浩気 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (60813897)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 可視光反応 / 自己組織化 / 有機合成化学 / 分子認識 / ホスト-ゲスト |
Outline of Annual Research Achievements |
分子認識能をもつ可視光応答性中空錯体の合成を検討し、合成できた中空錯体について基礎的な性質を調べた。八面体型六配位の形式をもつRu錯体またはIr錯体のcis位2つの置換活性部位を残した錯体、同じくcis位2つの置換活性部位を残した平面四配位の形式を持つPd錯体またはPt錯体、ピリジル部位を配位部位とする三座有機配位子を水中で加熱撹拌することで、空孔をもつ可視光応答性錯体が一義的に組み上がることを見出した。この中空錯体は、cis-スチルベンなどの有機分子を包接した。Ru錯体から合成した中空錯体は脂肪族アルケンのα位の酸化反応を、Ir錯体から合成した中空錯体はβ-alkylstyreneのE-Z異性化を可視光照射下、高効率で触媒することがわかった。 また、並行して本研究の設計の基となった中空錯体について、その配座固定能の起源と可能性を探索すべく、柔軟な基質を固定化する手法、剛直な分子を歪んだ形で固定化する手法について検討を行った。その結果、柔軟な直鎖テルペンや、オリゴインの包接による配座固定が可能であり、それぞれについて固定化された配座に由来する反応の加速が見られた。さらに、平面アミドを中空錯体の狭い空間に閉じ込めることによってアミド結合にねじれを生じさせ、加水分解反応に対し活性化することができた。今後はこのような配座固定や歪み誘起と、可視光反応を組み合わせることで新規反応の開拓が可能になる。 本研究で進めている可視光応答性中空錯体合成の主なアプローチとは異なり、パネル配位子に可視光応答性部位を組み込む手法についても検討した。その過程で、これまでの中空錯体とは全く異なる、二重の壁をもった中空錯体の構築に成功した。壁同士の相互作用を利用することで、新たな可視光応答性錯体の合成が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初目的としていた分子設計で中空錯体を合成することができ、また狙い通りの可視光応答性を示すことを明らかにできた。さらに合成した錯体の1つであるIr3L2錯体が、当初予想していなかった反応であるβ-alkylstyreneのE体からZ体への異性化反応を、高効率で触媒することもわかった。この反応は熱力学的には不利な方向への反応であり、光反応特有の反応であると言える。このように、計画通りの合成・性能確認に加え、さらなる有用な可視光反応を開拓することができたため、計画以上の進展があったと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
現状、中空錯体や有機基質の包接錯体の構造決定が不十分であり、配座固定を生かした可視光反応に更に展開する際の問題となっている。中空錯体の結晶化条件を探索・最適化し、構造決定手法として強力な単結晶X線回折を利用して中空錯体・包接錯体の構造解析を進め、反応系の設計に活かす。これまでに明らかになった反応と、構造解析によって明らかになる配座固定の機構・傾向を組み合わせ、より高度な標的、特に生理活性物質の部分骨格を合成可能な反応の開発を行う。
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Research Products
(14 results)