2020 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
19K15584
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
大竹 研一 京都大学, 高等研究院, 特定助教 (20834823)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 多孔性配位高分子 / 結晶工学 / ナノ空間化学 / 錯体化学 / 伝導特性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では、多孔性配位高分子の分野において未開拓であった骨格における電子物性を開拓することで、空間と骨格の機能を連携させた新しい科学の展開を行うことを目的とした。本研究では、レドックス活性な金属クラスターとレドックス活性配位子の組み合わせから電荷キャリアの導電パスを内包しうる多孔性配位高分子の構造開拓を行った。その結果、金属三核クラスターとプロペラ型レドックス活性配位子、ピラー配位子からなる同形構造のPCP群を構築することに成功した。金属クラスター部分とピラー配位子部分は置換可能であり、12種類の同形構造のPCPの結晶を得ることに成功している。金属クラスターとピラー配位子の組み合わせにより、バンドギャップの制御が可能であることが示唆された(論文投稿予定)。さらに、本研究課題の目的を達成するために、近年注目を集めている二次元シート型のPCPにも着目して研究を行った。従来まで金属イオンと1つの配位子でのみ構成されていた二次元シート型のPCPを拡張して、2種類の配位子で構成された二次元シート型のPCPの構築が可能であることを実証した。配位子の選択の幅を広げることができるため、設計が難しかった幅広い二次元シート型PCPの更なる展開を可能とした(Angew.Chem.Int.Ed. 2020)。また、レドックス活性な構成要素の導入によって、それが電子ドナー/アクセプターサイトとなることに起因して、多孔性配位高分子の内空間における様々な興味深い物性を副次的に得ることが出来た。(Inorg.Chem. 2021, Angew.Chem.Int.Ed.2021など)。今後、ここで得られた知見を基に、物性・応用開拓に取り組み、空間と骨格の機能を連携させた新しい科学を追求する。
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