2020 Fiscal Year Annual Research Report
キノリン骨格PNN鉄錯体によるC-Hボリル化反応の開発
Project/Area Number |
19K15592
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
神谷 昌宏 北里大学, 理学部, 助教 (40758447)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 鉄錯体 / C-H活性化 / ホウ素化 / 芳香族炭化水素 / ボリル錯体 / 有機合成反応 / DFT計算 / 反応機構解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、鉄錯体を利用したベンゼン、トルエンなどの芳香族炭化水素化合物のC-Hホウ素化反応の開発に取り組んだ。初年度は予備的な研究結果を参考に、課題となっていた溶媒への副反応の抑制、基質適用範囲の拡張、活性種生成過程の調査を行った。最終年度である2020年度は初年度の知見をもとに、Gaussianプログラムを用いた DFT 計算により触媒活性種および触媒サイクルの推定を行った。触媒活性種と推定したジボリル鉄錯体について各種スピン状態での構造最適化を行い、エネルギーの比較からS =1のスピン状態を持つことを支持する結果を得た。この結果はEvans法を用いた磁化率測定の結果と一致する。また、計算によりジボリル錯体へのC-H結合の酸化的付加過程を経る機構を示唆する結果が得られ、また、同過程が律速段階であることが明らかとなった。この結果は、重ベンゼンを用いた実験により得られた同位体効果(KIE = 2.0)の値とも矛盾しない。さらに、用いたピンサー配位子骨格の立体、電子的な影響と触媒反応との相関関係についても調査を行い、触媒性能と高い相関関係を示す立体因子について明らかにした。 本触媒反応に用いるキノリン骨格PNN鉄錯体は空気や湿気に安定な固体で、長期保存も可能である。加えてイリジウムと同様の反応性、選択性を示すことから、現在芳香族炭化水素化合物のC-Hホウ素化に汎用されているイリジウム触媒の代替触媒として利用が期待される。これらの成果については、学会および学術論文、プレスリリースを通じて発表を行った。
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Research Products
(6 results)