2019 Fiscal Year Research-status Report
異種元素複合ドープによるカーボンアロイ塩基触媒の開発
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19K15609
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
神成 尚克 群馬大学, 大学院理工学府, 助教 (90743336)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | カーボンアロイ / BNドープカーボン / 窒素ドープ / ホウ素ドープ / Knoevenagel反応 / 塩基触媒 |
Outline of Annual Research Achievements |
グリーン合成プロセスの実現に資する、窒素・ホウ素ドープカーボンアロイ(BNC)固体塩基触媒の開発を目標とし研究を実施した。具体的には、炭素原子を主体とするカーボン材料に対し、異種元素(B、N)をドープする、“異種元素複合カーボンアロイング”により、元素組成を制御したBNC触媒の調製し、この触媒の塩基触媒活性と触媒構造との相関を解明することを目的とする。 令和元年度は、カーボン材料へのBNドープが塩基触媒活性に及ぼす影響を明らかにするため、BNCの調製およびその塩基触媒活性の評価を行った。BNCは、窒素含有ポリマーであるポリアクリロニトリルを、ホウ素源である塩化ホウ素ガス流通下で炭素化することにより調製した。塩基触媒活性は、ベンズアルデヒドとシアノ酢酸エチルを基質としたKnoevenagel反応により評価した。塩基触媒活性を評価した結果、BNCは80 %以上の高い生成物率を示した。一方、窒素ドープカーボン、市販h-BNの生成物収率はともに5 %程度であった。また、X線光電子分光測定の結果より、BNC試料にはBとNがそれぞれ20-25 at%導入されており、化学結合状態としてB-NおよびB-C-Nが存在していることが明らかになった。以上の結果より、カーボン材料へのBNドープは塩基触媒活性を著しく向上させ、この高い塩基触媒活性は、B、N、Cの3元素が共存することにより発現することを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和元年度は研究計画に従い、BNドープカーボンの調製およびBNドープカーボンの塩基触媒活性評価を実施し、カーボン材料へのBNドープにより塩基触媒活性が著しく向上することを明らかにしたため、「おおむね順調に進展している」とした。具体的な研究内容は、「研究実績の概要」に示した通りであり、カーボン材料へのBNドープが塩基触媒活性を著しく向上させ、高い塩基触媒活性の発現には、B、N、Cの共存が重要であることを明らかにした。しかしながら、BNCの表面元素組成およびBNの化学状態が塩基触媒活性へ及ぼす詳細な影響は明確でない。よって元素組成、化学状態が塩基触媒活性へ及ぼす影響については、次年度に研究を実施する。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度は、BNCの表面元素組成および表面化学状態と塩基触媒活性の関係を明らかにするため、BNCの調製条件(炭素化温度、B源ガス濃度)をコントロールすることで、BNドープ量およびBNの化学状態が制御された試料を調製し、得られた試料の表面状態および触媒活性を詳細に検討する。さらにBNCのリサイクル反応試験を行い、特性劣化の有無(耐久性)を評価する。この際、試験前後での元素組成、化学状態の変化を詳細に検討することで、構造変化と触媒劣化の因果関係を明らかにする。
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Research Products
(2 results)