2019 Fiscal Year Research-status Report
特異点に発光性プローブを有する特殊構造高分子の精密合成と構造・物性の相関
Project/Area Number |
19K15619
|
Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
後関 頼太 東京工業大学, 物質理工学院, 助教 (20592215)
|
Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
|
Keywords | アニオン重合 / ミクロ相分離 / マクロ相分離 / 熱可塑性エラストマー / 星型ポリマー / 特殊構造高分子 / 発光性分子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では高分子鎖の結合界面に(凝集)発光分子を有する合成手法を確立し、ミクロまたはマクロな構造と材料の力学物性との相関関係を高感度な発光現象を利用することで明らかにすることを目的としている。特に、熱可塑性エラストマーに焦点を当て、非対称ABA’型や星型エラストマーの任意の位置に発光性分子を導入した高分子の合成方法を確立し、静的・動的な状態における高分子鎖界面構造を発光現象により定量的に追跡可能なアプローチ法を目指している。 このような目的に対して、初年度は発光性分子の設計とその分子を有する熱可塑性エラストマー材料の開発と力学および発光特性解析より研究を始めている。発光性分子としては、カルバゾール骨格を有する1,1-ジフェニルエチレン(DPE)類縁体およびテトラフェニルエテン(TPE)骨格を有するDPE誘導体を設計している。いずれの化合物ともに、それぞれカルバゾールとスチレンとの脱水素カップリング反応、またはボロン酸含有TPE誘導体とブロモ基を有するDPE誘導体とのカップリング反応により合成できることを見出している。加えて、これらの反応性の調査も進めており、予測通りアニオン種との定量的な1:1付加反応が進行することが明らかになってきた。この結果を基にして、ブロック共重合体や星型ポリマーが精密に合成できている。したがって、発光性分子を任意の高分子連結点に導入した構造からなる高分子の合成方法が確立できたといえる。 また、現在はこのブロック共重合体を相溶化剤として使用を開始しており、界面部分の可視化に向けた解析技術方法の開発に着手し始めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は計画通りに実験が進み、当初予定していた以上の成果を得ることが出来ている。ただし、論文の発表までに至っ ておらず、おおむね順調であると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
おおむね計画通り順調に進展しており、当初の計画以上の成果が出初めているため、申請書に記載した予定を遂行して行く予定である。 具体的に本年は、マクロ相分離界面の発光解析技術の確立を行いつつ、発光性分子を任意の位置に有する熱可塑性エラストマーおよび星型エラストマーの精密合成を行う。これらを用いて、ミクロレベルの発光解析へと繋げ、構造と物性の相関や破壊挙動の解析を試みる予定である。
|
Research Products
(6 results)