2019 Fiscal Year Research-status Report
シクロデキストリン含有高分子ロタキサンの動的特性を基盤とした機能材料の創成
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19K15620
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤江 要祐 東京工業大学, 物質理工学院, 研究員 (40837415)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子ロタキサン / シクロデキストリン / ウレアエンドキャップ |
Outline of Annual Research Achievements |
ポリマー主鎖中に1つだけ環状分子が貫通した高分子ロタキサンは、近年ようやく数例が報告された、新しいポリマーである。ポリマー主鎖全体を移動可能な、環状分子の大きな運動性が、その特徴である。この高分子ロタキサンを用いると、通常は不可能な高分子の一次構造変換、すなわち、分岐―線状、線状―環状といった構造変換が可能となる。しかしながら、これらの系にはクラウンエーテルが環状分子に用いられることが多く、合成には多段階が必要であるため、より簡便で安価な系が望まれていた。この課題の解決策として、本研究ではシクロデキストリン(CD)含有高分子ロタキサンの開発を検討する。本研究では、研究代表者が開発したロタキサン合成法「ウレアエンドキャップ法」を、高分子に応用することで、この課題に取り組む。 本年度はCD含有高分子ロタキサンの合成に必要な、末端にイソシアナート基を有するポリマーの合成、およびそれを用いたロタキサン合成について主に検討した。また、低分子のモデルロタキサンの合成、修飾法、ならびに構造解析についても検討した。末端にイソシアナート基を有するポリマーは、アシルアジド基を含む重合開始剤からリビング重合を行った後、アシルアジド基のCurtius転位反応を行うことで合成した。得られるポリマーと擬ロタキサンの反応による高分子ロタキサンの合成に関しては、現在検討中である。また、これに関連して両末端にイソシアナート基を有する市販のポリマーと、擬ロタキサンの反応によるロタキサン合成について検討したところ、簡便に高収率で被覆率の小さいポリロタキサンが得られた。この系は低コストなため大量合成が可能であり、素材への応用も現実的である。また、低分子モデルロタキサンについての検討から、CDのアシル化やモノ置換化による修飾、および円二色性スペクトルによる構造解析が高分子ロタキサンにも有効であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
末端にイソシアナート基を有するポリマーの合成、簡便・高収率な低被覆率ポリロタキサンの合成と物性評価、および低分子のモデルロタキサンの合成、修飾、構造解析がそれぞれ達成されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には計画通り高分子ロタキサンの合成法開発と物性評価を進める。特に、大量合成への展開を見据えて最適な合成条件を検討する。外部刺激に応じたロタキサンの構造変換、およびそれに伴う物性変化についても検討する。
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Causes of Carryover |
翌年度における研究代表者の信州大学への異動が内定したため、異動後の研究実施費用に充填する目的で次年度使用額が生じた。翌年度分として請求した助成金と合わせ、当初の使用計画に基づいて主に物品購入費として用いる予定である。
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Research Products
(5 results)