2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15628
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
Li Xiang 東京大学, 物性研究所, 助教 (30759840)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゲル / 伸長試験 / 小角散乱測定 / 構造評価 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の研究で、ゲルは作成濃度及び反応率を制御することによって、空間的に極めて均一な状態と空間的に欠陥のある状態を作り分けが可能となった。そこで、昨年度は4分岐高分子を低分子架橋剤で架橋し、種々の構造状態を持つゲルを合成した。それらのゲルについて、延伸試験を行いながら、in-situ小角X線散乱(SAXS)測定を行なった。これまで合成されたあらゆるゲルでは1.5-2倍程度の伸長で、バタフライパターンと呼ばれる異方的な散 乱が観測された。しかし、今回合成した不均一性をほぼ完全に排除したゲルでは8倍まで伸長(Linkam試験機の制約)しても、異方的な散乱は全く観測されず、ゲルに対する構造解析の常識を覆す結果が得られた。この現象を説明できる理論的な枠組みは存在せず、申請者は共同研究者と共に現在粗視化MDシミュレーションによる解析を進めている。 ただし、SAXS実験を進める上で、X線によるサンプルダメージが激しく、わずか数十秒程度の露光でゲルサンプルへ穴が開くほどダメージが発生する。そして、そのようなマクロなダメージによって、二次元散乱像には顕著な異方性散乱パターンが観測された。こちらについては、現在サンプルを移動させながら測定する方法である程度の解決を得られた。また、ゲルサンプルからの溶媒蒸発も問題となったが、こちらについては伸長試験機を有機溶媒の密閉が可能な形のものに改良することによって、解決した。また、昨年度はより大変形の領域での構造評価を目指し、最大20倍程度の伸長が可能な自作の伸長試験機の作製を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種々の不均一製をある程度定量的に導入できるゲルの合成方法を確立した。また、それらのゲルに対してin-situ SAXS測定を行う実験環境、ノウハウを確立した。実験に必要な放射光ビームタイムも十分に確保できる状態になった。さらに、従来の散乱研究からでは想像できないような実験結果も得られている。以上の結果により、本研究は概ね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
事前にデザインされた不均一性を導入したゲルに対して、引っ張り試験とin-situ SAXS/WAXS測定、そして小角中性子散乱を行うことで、ゲル内の異なる不均一性が散乱実験でどのような散乱パターンを示すのかについて詳細に調べる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症が発生し、新たな設備投資が難しい状況にあったため。
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Research Products
(4 results)