2021 Fiscal Year Annual Research Report
合成・量子化学計算・データ科学的手法によるゾル-ゲル反応の解析
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19K15637
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
塚田 学 千葉大学, 大学院工学研究院, 助教 (60632578)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | ゾル-ゲル反応 / シロキサン / シルセスキオキサン / アルコキシシラン / 架橋型アルコキシシラン / 自立膜 / 熱伝導率 |
Outline of Annual Research Achievements |
本申請課題は、合成を専門とする化学者の経験と勘に頼っていたトリアルコキシシランの加水分解重縮合反応(ゾル-ゲル反応)の実験結果をデータ科学的手法により解析し、実験結果を予測することを目的としている。 本年度は、コロナウイルス蔓延による緊急事態宣言の影響により延長した期間である。これまでに、実施できていなかった実験を行い、データを集めた。具体的には、架橋型アルコキシシランと中空シリカ粒子のハイブリッドフィルムを作製し、その特性を調べた。この過程で、架橋型アルコキシシランと中空シリカ粒子を混合して得られたゾルは、80度付近では粘土のように形を維持できるほどの粘性で成形加工可能であるが、室温では流動性を失うことを見出した。一般的な架橋型アルコキシシラン単独のポリマーゾルは、室温において流動性が高く、溶媒への溶解性も高い。そのため、塗布法などで成膜できる利点があるが、形の整った自立膜を調製するにはバイアルなどの容器内で加熱成形をする必要がある。一方で、今回見出したハイブリッドポリマーゾルは、冷却と加熱により可逆的に成形加工を繰り返すことができ、容器などを用いなくても成形できるという利点がある。成形後は200度で加熱することで不可逆的に白色の硬い自立膜を得ることが可能である。得られた膜の熱特性を調べたところ、単独の架橋型アルコキシシランから作製した自立膜に比べて、断熱性能のみならず耐熱性も向上していることがわかった。
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