2019 Fiscal Year Research-status Report
Elucidating the Unusual Charge Screening Effect on the Polymer Dynamics of Polymerized Ionic Liquids
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19K15641
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Research Institution | Okinawa Institute of Science and Technology Graduate University |
Principal Investigator |
松本 篤 沖縄科学技術大学院大学, マイクロ・バイオ・ナノ流体ユニット, 研究員 (20812978)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 高分子電解質 / イオン液体 / レオロジ― / 静電遮蔽効果 / 高分子化イオン液体 / スケーリング則 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,対アニオン種が異なる3つの高分子化イオン液体を合成し,準希薄非絡み合い溶液についてレオロジー測定を行った.その結果,以下の点について明らかにした. 1.高分子濃度を一定とし,異なるイオン液体濃度における比粘度(ηsp)と最長緩和時間(λ)を見積もった.イオン液体濃度の増加に伴いηspとλの値は減少し,最小値を示したのちに再び増加するという挙動を示した.この結果は希薄溶液で観測された結果と一致し,高イオン液体濃度域において,イオン間の強い相関による静電遮蔽効果への影響があることを示唆している. 2.高分子電解質溶液についてのスケーリング則に基づき,準希薄溶液を特徴づける長さである相関長に関するスケーリング則の修正を行った.修正相関長をRouse-Zimmモデルに導入することで比粘度と最長緩和時間に関するスケーリング則を確立した.予測値は実験値と良い一致を示した. 3.イミド系の対アニオンを有する高分子化イオン液体については修正スケーリング則が正立する一方,ホウ素系の対アニオンを有する高分子化イオン液体の高イオン液体濃度域における実験結果は予測値から逸脱することが明らかになった.具体的には,ηspとλの値がイオン液体濃度の増加とともに減少するが,さらに濃度を増加するとある一定値に漸近するというシグモイド型のイオン液体濃度依存性を示した.希薄溶液系についても同様の挙動を示したことから,この結果は,静電遮蔽効果に由来する鎖の収縮を予測する際,高分子自身の剛直性による鎖固有のサイズを考慮する必要があることを示唆している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
対アニオン種によって測定した結果とスケーリング則との不一致が見られ,その解釈に時間を要した.しかしながら,当初の予定通り,準希薄非絡み合い溶液に関するスケーリング則の確立とその検証を終えることができたので,おおむね順調に進展しているといえる.
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,当初の計画にしたがって研究を遂行する.今後は希薄,準希薄非絡み合い溶液において,実験値とスケーリング則による予測値が良い一致を示した高分子化イオン液体に着目する.高分子濃度を絡み合い溶液が得られるまで上げ,これまでと同様にレオロジー測定を行い,修正スケーリング則の確立を目指す.
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスによる学会のキャンセルに伴う旅費の調整,当初の予測とは異なる実験結果が得られたことによる追加物品購入により少額の未使用額が発生した.未使用額が少額であるため,無理に使う必要はなく,返還することとした.次年度は計画通り使用する予定である.
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