2020 Fiscal Year Annual Research Report
Design of high-performance delayed fluorescence materials with controlled spin-orbit coupling and their application in organic light-emitting diodes
Project/Area Number |
19K15651
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
朴 仁燮 九州大学, 稲盛フロンティア研究センター, 学術研究員 (20830938)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 熱活性化遅延蛍光 / 有機EL |
Outline of Annual Research Achievements |
従来の有機EL(Organic Light-Emitting Diode)では、有機発光材料からの蛍光(励起一重項放射)のみを利用しており、電流励起によって必ず生成する75%もの三重項励起子を活用できておらず、25%の低い励起子利用効率に留まっていた。従来未利用だった三重項励起状態(T1)を一重項励起状態(S1)へアップコンバージョンしてS1から発光させる熱活性化遅延蛍光(TADF)を利用することで、イリジウムや白金などの貴金属を用いずに、有機ELにおいて励起子利用効率を従来と比較して約4倍の100%まで向上させることが可能である。本研究では、まずGaussian 16プログラムに実装されている時間依存密度汎関数法(TDDFT)を用いて、フェニル基の導入有無によりドナー・アクセプター向の二面角が変化する分子系について、S0、S1、T1のエネルギーを精密に計算し、S1とT1のエネルギー差からΔESTを算出した。フェニル基の導入によって分子内のHOMOとLUMOの重なりが最小化され、ΔESTが小さくなることを理論的に明らかにした。次いで、実際に材料を合成・精製し、基礎的な光学物性を評価した。ここで、TADF特性の有無、発光色、発光量子収率、発光寿命などの光物理的特性について詳細に検討した。特に、固体薄膜状態における精密な静的・動的分光学測定(発光分光分析・過渡分光分析・絶対発光量子収率・S1およびT1エネルギー準位解析)により、新規分子のΔESTおよびT1→S1の逆項間交差速度の関係を実験に基づき解析した。さらに。新規発光材料を用いた有機EL素子を作製したところ、フェニル基を導入した分子が約5倍の高い外部量子効率を示すことが明らかになった。以上の結果は、高効率電界発光の実現に向けた重要な材料設計指針になると考えられる。
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