2020 Fiscal Year Annual Research Report
固体電解質/電極界面の構築によるリチウム二次電池高容量正極反応の制御
Project/Area Number |
19K15658
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Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
田港 聡 三重大学, 工学研究科, 助教 (60771201)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | リチウム二次電池 / 正極材料 / 薄膜電池 / 固体電解質 / パルスレーザー堆積法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,固体界面を利用して複数当量のLi+を可逆的に脱挿入させるリチウム二次電池正極反応を見出すため,モデル積層膜合成により酸化物固体電解質とLi5FeO4との固体界面を構築して正極反応を検討する.本研究により可逆的な高容量正極反応を見出すことで,蓄電池の高エネルギー密度化に繋がる.最終年度においては,パルスレーザー堆積法(PLD法)によるLi5FeO4薄膜の合成においてLi/Fe組成を検討し,合成した化学組成および電気化学特性を評価した.また,昨年度に最適化した合成条件でリン酸塩系の固体電解質薄膜を薄膜電極へ積層して固体界面を構築し,固体電解質を積層した薄膜電極の電気化学特性を評価した.Li5FeO4薄膜の合成について,過剰Li量を20-80%としたターゲットを用いて合成したところ,ターゲットの過剰Li量が増加すると合成した薄膜中のLi/Fe比が増加することが分かった.40%過剰のターゲットを使用することで合成した薄膜のLi/Feが5.3であった.前年度の課題とであったLi欠損を改善し,おおよそ目的の組成比に近い薄膜を合成することに成功した.また充放電試験による電気化学特性評価より,初回充電時に電位平坦部を示すことを確認した.合成した薄膜に前年度確立した条件でリン酸塩系の酸化物固体電解質を積層した.合成した固体電解質積層薄膜正極について充放電試験による電気化学特性評価を行った結果,積層無しと比べて充放電曲線が変化し,初回充放電反応におけるクーロン効率が増加した.以上の検討から,リン酸塩系固体電解質の積層による固体界面の構築で,薄膜正極のLi+脱挿入反応の可逆性が向上することを見出した.固体電解質との界面が形成されたことで,有機電解液を用いた電池系とは充放電反応機構が変化したことが示唆される.
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