2019 Fiscal Year Research-status Report
アニオン制御に立脚した酸素発生触媒の高活性化と触媒設計指針の創製
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19K15678
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
宮原 雄人 京都大学, 工学研究科, 助教 (60807816)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 酸素発生反応 / 複合アニオン化合物 / 水電解 / 電極触媒 / 電気化学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度である令和元年度は、層状ペロブスカイト構造を有する酸塩化物に関して高活性化の要因を明らかにすることおよび、結晶構造が活性に与える影響を検討することを目的とした。 層状ペロブスカイト構造を有する酸塩化物を作製し、アルカリ電解液中における酸素発生活性評価を行った。予備実験の結果で得られたとおり、遷移金属カチオンの組成制御を行うことで大幅に活性が向上することが確認できた。この要因について、理論計算や種々のキャラクタリゼーションを行った結果、従来の酸化物触媒で広く知られているような一つの活性サイトで進行する反応機構とは異なり、二つの活性サイトが相補的に機能する反応機構を有していることが明らかとなった。また、本化合物に特徴的なパラメータをいくつか抽出し、遷移金属カチオン組成と酸素発生活性の相関性を検討したところ、良い相関性を有するパラメータを見出すことに成功した。 また、結晶構造が与える影響に関して、層状ペロブスカイト構造におけるペロブスカイト層数と酸素発生活性との相関性を検討した結果、ペロブスカイト層数は触媒活性にほとんど影響を与えないことが明らかとなった。これは、ペロブスカイト層数の変化はペロブスカイトの八面体構造にほとんど影響を与えないためであると考えられる。 その他、アニオン元素が酸素発生活性に与える影響についても検討を始めており、高活性な複合アニオン化合物の合成へ向けた設計指針の獲得に関して、触媒活性因子に関する検討を進めることができている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高い酸素発生活性を有する複合アニオン化合物について、その高活性化の原因を明らかにすることに成功している。また、結晶構造が与える影響について検討を進めることができており、複合アニオン化合物の活性支配因子解明へ向けた研究データの蓄積が進められていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでは大気下における固相法で合成可能な複合アニオン化合物に着目してきたが、真空条件や高圧条件で合成可能な化合物に検討対象を拡大し、非酸素アニオン元素種が酸素発生活性に与える影響について明らかにしていく予定である。
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