2020 Fiscal Year Annual Research Report
増殖因子ミメティクス核酸に基づく受容体パーシャルアゴニズムの解明
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19K15693
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
植木 亮介 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 助教 (90755703)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 受容体 / アプタマー / アゴニスト |
Outline of Annual Research Achievements |
増殖因子・サイトカインは細胞の増殖や分化を制御する重要なタンパク質である。これらの分子は細胞表層の受容体に作用して受容体の二量化を介したメカニズムで細胞内シグナルを誘起する。これまでに、天然または人工の受容体リガンドの中には、受容体活性化能力が低下した「パーシャルアゴニスト」として機能する分子が存在することが示されており、その医療応用上の有用性に注目が集まっている。他方、そのような分子の設計指針は十分に確立されておらず、系統的な検証が必要とされている。そのような中、本研究では研究代表者らが開発した増殖因子ミメティクスを用いて、増殖因子受容体パーシャルアゴニストの開発と作用機序の解明を目指している。
本年度は、昨年度までに開発した異なる受容体活性化能を示す増殖因子ミメティクスのレパートリーに着目して、トランスクリプトーム解析/プロテオミクス解析を実施した。また、医療応用上重要になる細胞フェノタイプ(細胞増殖/血管新生/細胞遊走)の解析を実施し、これらのパーシャルアゴニスト群が示す生理活性について詳細に検証した。興味深いことに、開発した増殖因子ミメティクスのレパートリーはいくつかの細胞挙動においてパーシャルアゴニズムを示し、アゴニストの分子デザインに基づいた細胞挙動の精密制御が可能であることが実証された。これらの結果は昨年度の成果と合わせて、論文投稿中である(M. Akiyama, R. Ueki et al. Submitted)。
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