2019 Fiscal Year Research-status Report
Reversible and versatile chemogenetic tool using artificial organelles
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19K15697
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉井 達之 名古屋工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (30778048)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 細胞 / オルガネラ / 蛋白質 / 機能制御 / 自己組織化 |
Outline of Annual Research Achievements |
タンパク質は増殖・分化・運動・細胞死など、ほぼすべての細胞内イベントに関わる極めて重要な分子である。このようなタンパク質の役割を理解するためには、タンパク質活性を高速かつ可逆的に制御する方法論が必要となる。また、このような活性制御技術が実現すれば、CAR-Tなどの細胞治療において役立つことが期待される。そのような手法の一つに化学遺伝学(Chemogenetics)という手法がある。Chemogeneticsにおいては遺伝子工学的手法により改変したタンパク質を細胞内に発現し、これに特異的に結合するような小分子化合物を用いることで活性の制御を実現する。一方で、タンパク質は構造・機能的に多様である。そのため、化学遺伝学ツールの開発においては、標的タンパク質ごとに1から設計・最適化しなければならず、多大な労力・コストを必要としていた。本研究では、細胞内に新しい環境場(人工オルガネラ)を構築し、その内外でタンパク質の取り込みや放出を行うことでタンパク質の活性を可逆的に制御することを目指した。この戦略では、人工オルガネラに取り込んだタンパク質が外部と隔絶されるという原理を利用するため、構造に依存せずさまざまなタンパク質に応用可能である。したがって、汎用性の高い手法になると期待される。本年度は、細胞内に安定的に存在できる人工オルガネラを創出すべく、タンパク質ドメインを検討した。また、化合物を添加することによって標的タンパク質を可逆的に取り込み・放出するためのスイッチングシステムの導入を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
細胞内に安定的に存在できる人工オルガネラを創出すべく、タンパク質ドメインを検討した。オリゴマー形成するタンパク質ドメインや、タンパク質ドメインを融合したさまざまなキメラタンパク質を設計し、細胞内に発現させた結果、細胞内に安定的に顆粒状の構造体を形成させることに成功した。 次に、化合物を添加することによって標的タンパク質を可逆的に取り込み・放出するためのスイッチングシステムの開発を行った。小分子によってヘテロ二量体を解消させるシステムを構築し、人工オルガネラ内からの可逆的な放出ができることを蛍光タンパク質をモデルとした実験により明らかにした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は本技術を細胞内シグナル伝達に関わるさまざまなタンパク質に対して適用していく。また、ゲノム編集技術と組み合わせることで内在性タンパク質の機能制御も行っていく。
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