2021 Fiscal Year Research-status Report
化学反応を駆使した多官能基性天然物の構造と作用機序研究
Project/Area Number |
19K15706
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
入江 樂 横浜市立大学, 理学部, 助教 (50835238)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 天然物 / 誘導体化 / 構造解析 / アミド結合 / 分解反応 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究代表者は、複雑に官能基化されており立体配置が未決定の海洋天然物(ポエシラストリン)の構造決定を志向し、天然物の基本骨格を適切なフラグメントに分解するための反応を探索している。これまでにモデル化合物を用いて反応条件を調整した、アミドと水酸基が隣接する部分構造(N-アシル-β-アミノアルコール)の脱アシル化反応を、今年度は天然物に適用することを試みた。天然物は非常に稀少なため、反応はnmolスケールで実施し、反応追跡はLC-MSでおこなった。化学構造の複雑な化合物を用いて、小スケールで多段階の誘導体化をおこなうにあたっては、特有の課題(基質の濃度が低く反応速度が遅い、反応点が複数あるために生じる多種多様な反応中間体の構造推定が容易でない、目的物の収量がMSの検出限界を下回り次段階の反応へ進めない、など)に直面したが、適宜モデル化合物に立ち戻り、試薬の当量や反応の後処理法などを変更することで、解決をはかった。結果として、天然物のマクロ環と直鎖部分のアミド結合が開裂したフラグメントをLC-MSで初めて検出することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は天然物(ポエシラストリン)を構造解析のしやすいフラグメントに分解する試みが実現し、目的物を検出することができた。天然物の完全な構造決定に向けてはまだ段階を踏む必要があるが、天然物からフラグメントの標品が得られたのは大きな進展である。
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Strategy for Future Research Activity |
天然物(ポエシラストリン)の分解反応のスケールアップをおこない、目的とするフラグメントの増量を試みる。必要に応じて、天然物を生体試料(カイメン)から単離、供給する。各種スペクトルデータ、および立体化学の確定した合成品とのLC-MSにおける保持時間の比較をおこない、天然物の完全な構造決定を目指す。類縁体やフラグメントが高収量で得られれば活性評価をおこない、活性中核構造のヒントとしたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、研究で用いる化合物(ポエシラストリンなど)の供給源となる生体試料の採集が中止になったことに加え、国際学会での発表がオンラインとなり、予定していた旅費の支出がなくなったことが主として挙げられる。 次年度は、必要に応じてこれらの用途に使用する予定である。
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[Presentation] Stereochemical analysis of poecillastrin C, a cytotoxic macrolide lactam from marine sponges2021
Author(s)
Raku Irie, Yuki Hitora, Ryuichi Watanabe, Shinji Sekiya, Yu Suyama, Hugh Clark, Toshiyuki Suzuki, Kentaro Takada, Seijiro Hosokawa, Masato Oikawa, Shigeki Matsunaga
Organizer
The International Chemical Congress of Pacific Basin Societies 2021
Int'l Joint Research