2019 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
19K15719
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology |
Principal Investigator |
岡田 智 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (70785229)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | MRI / プローブ / 脳機能イメージング / ナノ粒子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、血中因子や神経伝達物質に応答しMRI信号を増感する磁性ナノプローブを開発し、高感度全脳機能イメージング技術を確立することを目的とする。これまでに、ドーパミン・セロトニンなどのモノアミン系神経伝達物質やグルコースに応答し、T2強調画像コントラストが変化するMRIプローブの開発に成功している。 プローブは、標的分子のアナログが結合した磁性ナノ粒子と、標的分子と特異的に結合する改変タンパク質から成る。プローブは、アナログとタンパク質の相互作用により凝集状態にあるが、標的分子がアナログと競合しタンパク質に結合することで解離するようにデザインされている。これにより、プローブのT2緩和能が低下し、MRIシグナルが増大することが予想された。そこでまず、ドーパミンおよびセロトニンのアナログ分子を合成した。並行し、標的分子と特異的に結合しアナログとも比較的高い親和性を有するタンパク質の探索と発現・精製を行った。動的光散乱の結果から、アナログ結合ナノ粒子とタンパク質を混合すると、プローブが凝集することがわかった。さらに標的分子存在下では、凝集状態から解離することがわかった。 実際にプローブを用い、in vitroでT2強調画像を撮像すると、標的分子の生体内濃度範囲でT2信号の増大が見られた。また、用いたプローブの濃度は数百nM程度であり、内在性標的分子の機能を阻害することなく検出可能であることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は当初の計画通り、ドーパミン、セロトニン、グルコースなどに応答し、有意にT2増大を起こす磁性ナノプローブを開発できた。標的分子と特異的に応答するプローブの合成にあたり、リガンドの分子構造とそれに結合するタンパク質のペアを新たに見出した。また、ナノ粒子合成の反応温度を精密に制御することで、20ナノメートル以下の均一なナノ粒子が得られた。これにより、標的分子と数分以内に反応し、20%以上T2が変化するプローブを開発できた。以上から、おおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
・現在緩衝液中でプローブの物性評価を行っているが、脳脊髄液や細胞破砕液など生理条件に近い環境でも評価し、プローブデザインにフィードバックする。 ・低磁場・高磁場スキャナを用いて、標的分子濃度に応じたMRI画像が得られることを確認する。 ・モノアミン系神経伝達物質やグルコース以外の分子も検出可能なプローブの開発へ展開する。
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Causes of Carryover |
生化学実験などに使用する試薬・備品の消耗を、当初の予定よりも抑えることができたため。翌年度は、生理条件に近い環境での測定を予定しており、生化学実験の頻度が増えることが予想されるため、消耗品の購入にあてる予定である。
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Research Products
(10 results)