2022 Fiscal Year Research-status Report
低施肥栽培を目指した土壌微生物によるプライミング効果発現機構の解明
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19K15721
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
早川 智恵 宇都宮大学, 農学部, 助教 (10725526)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | プライミング効果 / 黒ぼく土 / 13C-セルロース / 13C-グルコース / 窒素採掘 |
Outline of Annual Research Achievements |
R3年度は研究期間を中断したため、R4度は引き続き、調査地の土壌微生物叢の解析を実施した。 細菌および古細菌について、森林、草地ともに表層土ではProteobacteria門が相対存在比の30%以上を占め、続いてacidobacteria門(約20%)が多かった。一方、下層の埋没腐植土においては、森林、草地ともに、Proteobacteria門、acidobacteria門、Chloroflexi門がぞれぞれ20%以上を占めており、主要な細菌群を形成していた。また、下層土においては森林、草地ともに古細菌の相対存在比が高く、そのうちアンモニア酸化古細菌(Nitrososphaeria科)が40%以上を占めていた。α多様性指数(Shannon指数)は森林、草地ともに、表層土より下層の埋没腐植土において低い傾向を示した。一方、森林と草地で比較すると、表層土、下層の埋没腐植土ともに、森林より草地でα多様性指数の値が高い傾向を示したことから、草地土壌の方が細菌および古細菌叢の多様性が高いことが考えられた。真菌叢については、森林では表層土、下層土ともに、Basidiomycota門が相対存在比の60%以上を占めていたが、草地表層土ではBasidiomycota門の相対存在比は小さく(約4%)、Ascomycota門(約19%)およびRozellomycota門(約38%)の割合が大きかった。草地下層土においても同様にBasidiomycota門の相対存在比は小さく(約3%)、一方Ascomycota門が大半を占めていた(約73%)。真菌叢のα多様性指数は細菌および古細菌の場合と同様に、表層土より下層の埋没腐植土において低い値となった。しかし、森林と草地の比較では、下層の埋没腐植土においては大きな差は見られなかったものの、表層土においては草地より森林のShannon指数の値が高く、森林土壌の方が真菌叢の多様性高いことが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
R4年度は引き続き調査地土壌の微生物叢解析を実施したが、新型コロナウイルスの影響および前年度の研究期間の中断、分析機器の故障・更新により実験・解析を中断したため、「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
中断・制限された培養実験および遺伝子解析実験については、再開・やり直しを実施し、現在も継続中である。ただし、次年度も引き続き入手困難な消耗品・試薬類があるため、遺伝子解析については今年度と同様に外注や外部機関の協力を得るなどの代替方法で実施することを検討している。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの影響により現地開催が予定されていた国際学会および国内学会がオンライン開催に変更され旅費を使用しなかったことと、消耗品・試薬類の入手困難、分析機器の故障・更新等の影響により、実験・研究活動が中断されたため、予算を繰り越した。R5年度から新型コロナウイルスは5類となるため、学会等への旅費や、再開済みの培養実験・遺伝子解析実験等に使用する計画である。
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