2021 Fiscal Year Annual Research Report
新規の硫黄分子種の分析化学的手法による新規抗酸化有用機能性のチオール分子種探索
Project/Area Number |
19K15727
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
河野 祐介 筑波大学, 生命環境系, 助教 (40558029)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 生体硫黄分子 / 硫黄代謝 |
Outline of Annual Research Achievements |
藻類や酵母等の微生物を対象に硫黄代謝物のメタボローム解析を行った。各クロマトグラムデータでは、多くのピークが出現し、サンプル間や標準化合物試料との比較から新規の硫黄化合物の可能性があるピークを選定した。ただし、その溶出液を実際に分取すると、取得試料を再解析してもLC-MSで検出ができなかった(シグナル/ノイズ比の悪いクロマトグラム)。原因は明快ではないものの、この操作間にかなりのロス(もしくは化学的変換や分解)が生じている可能性が高い。対処として、試料投入量の増大、代謝物の抽出液の濃縮、分取溶出液の濃縮等(乾固後に再溶解)により、目的単離物(粗精製物)の検出を試みたがベースラインが上昇する結果となり、シグナル/ノイズ比の改善は果たされなかった。現在利用しているLC-MS分析系は化合物の分離度が高く精細な解析が可能で「分析」に特化しているタイプのため、未知の新規硫黄化合物候補の「精製」を進めるには、分離度を多少犠牲にしても、大量の試料導入が可能な「分画」に特化したクロマトグラフィー系が必要と思われる。もしくは、LC装置での分離系の前段階で、目的物より遥かに大量に存在する他の生体分子種量をかなり減らしておく(粗精製)必要がある。もし、目的物が不安定な分子種であるとすると、例えばその理由が酸化反応等の場合、目的物のロスではなく減少の可能性もあり得る。この場合、抽出時~精製操作のプロセスで溶液に常に還元剤を入れておく対応で、目的化合物の単離精製が実現できる可能性がある。この実験は、本科研費期間内に実施できなかったが、引き続き実験を継続する所存である。本研究は、新規のチオール化合物の探索が目的あるが、その可能性を広げうる解析系として、「揮発性のチオール化合物のLC-MSでの解析系」について、本研究と同様の誘導体化法を適用することで可能になることを実験的に示した論文が採択に至った。
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Research Products
(2 results)