2019 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸枯渇による隠されし応答 -Ecl1 family遺伝子依存的な寿命延長-
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19K15730
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 北斗 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (10632151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | Ecl1ファミリー遺伝子 / ecl1+ / fil1+ / 経時寿命 / アミノ酸 / 分裂酵母 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、「分裂酵母においてアミノ酸制限がEcl1ファミリー遺伝子依存的に経時寿命を延長させる」と仮説を立て、その解析を行った。本研究計画では、アミノ酸制限などの栄養枯渇による寿命延長はリボソームの量またはその機能の低下に起因するのではないかと予想し、この仮説の検証を行うとともに、その応答機構の分子的メカニズムの理解を予定していた。令和元年度は以下の5つのことがわかった。 1. アミノ酸要求性の分裂酵母において、アミノ酸の枯渇はEcl1遺伝子の発現を誘導すること。2.アミノ酸制限は分裂酵母の経時寿命を延長し、この効果はEcl1ファミリー遺伝子に依存すること。3.アミノ酸制限による細胞内応答と同じく窒素源となりうるアンモニウムイオンの制限は同様に分裂酵母の経時寿命を延長するが、これらは異なる細胞内メカニズムにて寿命延長を起こすこと。4.アミノ酸制限におけるecl1+遺伝子の発現誘導には転写因子fil1によって行われること。5.これまでアミノ酸に関わるシグナル伝達機構にTORが働くことがわかっていたが、分裂酵母のアミノ酸制限時の経時寿命延長機構にはTORよりもむしろEcl1ファミリー遺伝子の方が大きな役割を担うこと。 これらの結果は、論文にまとめ以下の内容で発表した。 Mol Genet Genomics. 2019 Dec;294(6):1499-1509. doi: 10.1007/s00438-019-01592-6. "Leucine depletion extends the lifespans of leucine-auxotrophic fission yeast by inducing Ecl1 family genes via the transcription factor Fil1." Ohtsuka H, Kato T, Sato T, Shimasaki T, Kojima T, Aiba H.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は順調に進み、論文発表に至った。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、ecl1遺伝子発現の誘導がアミノ酸のみではなく、他の栄養素によって起こる可能性を示すデータが得られている。 これら因子の同定とそのシグナル伝達の分子機構の解明を通じて、Ecl1ファミリー遺伝子が担う分裂酵母の経時寿命延長機構の解明に迫りたいと考えている。
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Causes of Carryover |
当初予定していなかったが、研究遂行中に名古屋大学生命農学研究科の兒島先生と知り合い、協力を得られることになった。これより、ChIPシーケンス解析が可能となった。 また、名古屋大学生命農学研究科の北浦先生と知り合い、協力を得られることになった。 これより、アミノ酸定量解析が可能となった。 これらを踏まえ、より精緻に研究を達成するため研究計画の変更が求められた。
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Research Products
(11 results)