2020 Fiscal Year Research-status Report
アミノ酸枯渇による隠されし応答 -Ecl1 family遺伝子依存的な寿命延長-
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19K15730
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大塚 北斗 名古屋大学, 創薬科学研究科, 助教 (10632151)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 分裂酵母 / マグネシウム / 経時寿命 / Ecl1 family 遺伝子 / GAAC / ecl1+ / fil1+ / リボソーム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究計画では、「分裂酵母においてアミノ酸制限がEcl1ファミリー遺伝子依存的に経時寿命を延長させる」と仮説を立て、その解析を行った。本研究計画では、アミノ酸制限などの栄養枯渇による寿命延長はリボソームの量またはその機能の低下に起因するのではないかと予想し、この仮説の検証を行うとともに、その応答機構の分子的メカニズムの理解を予定していた。令和2年度は以下の4つのことがわかった。 1. アミノ酸要求性の分裂酵母において、マグネシウムの枯渇はEcl1遺伝子の発現を誘導すること。2.マグネシウム制限は分裂酵母の経時寿命を延長し、この効果は一部Ecl1ファミリー遺伝子に依存すること。3. アミノ酸制限と同様に、マグネシウム制限は、分裂酵母のアミノ酸応答経路を活性化してecl1+遺伝子の発現を転写因子Fil1依存的に行うこと。4. 分裂酵母のアミノ酸制限によるよる寿命延長には、栄養枯渇時のリボソーム量の適切な制御が重量であること。 これらの結果は、論文にまとめ以下の内容で発表した。 Ohtsuka et al. 2021 "Magnesium depletion extends fission yeast lifespan via general amino acid control activation" MicrobiologyOpen in press doi: 10.1002/mbo3.1176 また、分裂酵母の経時寿命に関わる総説も執筆し、以下の論文を発表した。 Ohtsuka et al. 2020 "Genes affecting the extension of chronological lifespan in Schizosaccharomyces pombe (fission yeast)" MOLECULAR MICROBIOLOGY in press doi: 10.1111/mmi.14627
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍に伴い、実験量自体は低下したものの、無事に論文の受理にいたったため。
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Strategy for Future Research Activity |
ecl3遺伝子の発現シグナルはこれまで不明であったが、今回他の栄養素の枯渇がecl3発現を誘導する手がかりが得られた。 このシグナル伝達の分子機構の解明を通じて、Ecl1ファミリー遺伝子が担う分裂酵母の経時寿命延長機構の解明に迫りたいと考えている。 また、Ecl1 family遺伝子産物が標的とする新規因子についてもその手がかりが得られたことから、その解明も行なっていきたい。
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Causes of Carryover |
コロナ禍に伴い、少し実験が制限され、当初予定金額より使用が下回った。 また、基礎生物学研究所の大坪先生、山下先生とは共同研究を続けられており、互いの技術交換にて、より精緻に研究を達成するため研究計画の変更が求められた。
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