2021 Fiscal Year Annual Research Report
コリネ型細菌の物質生産宿主としての汎用性拡大に向けた代謝工学と合成生物学的利用
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19K15736
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
片岡 尚也 山口大学, 大学研究推進機構, 助教 (50713509)
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Project Period (FY) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | リボヌクレアーゼ / フェニルアラニン / ホスホエノールピルビン酸 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は引き続き, コリネ型細菌の代謝改変による芳香族アミノ酸生産に取り組んだ。昨年度取得に成功したフェニルアラニン高生産抑制変異株のゲノム配列を解析したところ, リボヌクレアーゼの一つであるRNase J (rnj遺伝子にコードされる) にアミノ酸置換の変異が見出された。本変異が, コードするリボヌクレアーゼの機能にどのように関わったかを調査するべく, 抑制変異株からrnj遺伝子を欠損させた株を作製しフェニルアラニン生産を調査した。その結果, 抑制変異株と同じ表現型を示したことから, 見出された変異はRNase Jの機能低下に関与していると予想された。フェニルアラニン生産の更なる向上を目的に, 芳香族アミノ酸生合成の重要中間体であるホスホエノールピルビン酸の供給強化を目的に, アナプレロティック経路およびグルコース取込み系に関与する遺伝子の欠損効果を調査した。その結果, アナプレロティック経路を構成する酵素であるピルビン酸カルボキシラーゼ, ホスホエノールピルビン酸カルボキシラーゼの欠損が有意にフェニルアラニン生産を向上させることが分かった。一方で, グルコース取込み系の改変は負の効果を持つことが明らかになった。次いで, フェニルアラニン同様, 芳香族アミノ酸の一種であるチロシンの高生産にも, フェニルアラニン高生産株の作製時に得られた知見が活用できるか検討を行った。その結果, RNase Jの欠損変異は, チロシン高生産にも有効であることが分かった。同時に, RNase Jの欠損により, 親株と比較して早い時期から芳香族アミノ酸の蓄積が開始したことから, シキミ酸経路の制御にRNase Jが関与している可能性が示唆された。
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